研究課題/領域番号 |
21K21060
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
竹内 涼子 新潟大学, 医歯学総合病院, 専任助教 (00911603)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | エクソソーム / 骨再生 / 間葉系幹細胞 / 培養上清 / マクロファージ |
研究実績の概要 |
本研究は、骨髄間葉系幹細胞由来の培養上清(MSC-CM: MSC-Conditioned medium)由来のエクソソームによるマクロファージを中心とした免疫調節機能を踏まえた骨再生について、ラット頭蓋骨骨欠損モデルを用いて検討している。 本研究では骨形成の早期段階におけるM2マクロファージについて検討するため、単球遊走およびマクロファージ極性転換関連因子であるMCP-1に着目した。 現在までの実績概要として、骨髄間葉系幹細胞からMSC-CMの採取をしエクソソームの回収を行っている。先行研究にてMSC-CMにMCP-1が含まれていることが確認されていたため、実際にELISA法にてMSC-CMのMCP-1の濃度を測定した。また対照群の材料として、MSC-CMから免疫沈降法によってMCP-1を除去したものも作成し同様にELISA法にて濃度を測定しMSC-CMからMCP-1が除去されていることを確認した。今後骨形成関連遺伝子やマクロファージ極性転換関連因子についての発現について検討する予定である。 また、ラット頭蓋冠モデルを用いて動物実験に着手し、MSC-CM群、DMEM群、MSC-CMからMCP-1を除去した群を用意して、ラットの頭蓋骨骨欠損部に各材料を移植し、72時間または1週間後の骨形成の評価を形態学的・組織学的に評価した。現在までの実験結果からMSC-CMが早期の骨再生を促進し、またMCP-1がその機序に関与している可能性を推察した。今後MSC-CMから回収したエクソソームを各実験に供する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroにおいて、ヒト間葉系幹細胞を培養しその培養上清(MSC-CM)を採取した。また、骨形成の早期段階におけるM2マクロファージについて検討するため、単球遊走およびマクロファージ極性転換関連因子であるMCP-1に着目した。先行研究にてMSC-CMに含まれるとされていたMCP-1の濃度をELISA法にて測定し、実際にMSC-CMにMCP-1が含まれていることを確認した。また、MSC-CMから免疫沈降法によってMCP-1を除去した培養上清を作成し、MCP-1の濃度を測定して除去されていることを確認した。現在、細胞のRNAを採取し骨形成遺伝子の発現について検討している段階である。 in vivoにおいては、ラット頭蓋骨骨欠損モデルを用いて骨形成について検討した。10週齢の雄Wistarラットの頭蓋冠に直径5mmの骨欠損を作成しアテロコラーゲンスポンジを足場としてMSC-CMやMCP-1を除去した上清などの材料を移植した。72時間または1週間後の骨形成について、マイクロCTによる骨形成評価とH-E染色による組織学的評価を行った。
|
今後の研究の推進方策 |
MSC-CMからのエクソソーム採取を継続的に行う。in vitroにおいては骨形成関連遺伝子や単球遊走因子、マクロファージ極性転換関連因子の発現についてqPCRにて解析を行う予定である。また、形態学的、組織学的にも分析を進めていき、必要に応じて実験動物数を増やしていく予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
コロナウィルスの影響などにより当初予定していた動物実験のスケジュールの一部を延期することになったため、それにかかる動物実験関連費用が後ろ倒しになった。 今年度、その分の実験を計画しておりそれらの実験費用に充てる予定である。
|