間葉系幹細胞(MSCs)による骨再生において、細胞相互の接着による直接的な情報伝達に加え、液性因子等のパラクライン作用による間接的なコミュニケーションが重要な役割を担うことが知られている。われわれはこれまで、骨髄間葉系幹細胞由来培養上清(Mesenchymal Stem Cell Conditioned Media; MSC-CM)には様々な成長因子が含まれ、細胞遊走、血管新生、細胞分化などを亢進させ、骨再生を促進することを報告してきており、中でも液性因子の一つであるエクソソームが骨再生に重要な役割をになっていると考えた。 近年、MSC-CMによる骨再生において、マクロファージ極性転換の誘導と抗炎症環境の構築が重要な過程であることが指摘されている。炎症を促進するM1マクロファージと、炎症を抑制するM2マクロファージの二つの極性に大別されるが、単球遊走因子(Monocyte Chemoattractant protein-1; MCP-1)などによる作用はマクロファージスイッチングを介しM2マクロファージ優位となり、IL-10、TGF-β等のサイトカインを産生し、抗炎症作用、組織再生作用を発揮する。本研究では、MSC-CMやエクソソームに含まれるマクロファージ極性転換因子であるMCP-1の骨形成に対するおける影響を検討した。 MSC-CMにMCP-1が含まれていることをELISA法にて確認し、ラット骨髄由来マクロファージをMSC-CMやMCP-1除去MSC-CMで培養しqRT-PCRにてM1およびM2マクロファージマーカーの発言を検討した。 また、ラット頭蓋骨欠損モデルを用いてMSC-CMやMCP-1除去MSC-CMをアテロコラーゲンを足場として移植し、移植後72時間、1週、2週にマイクロCTにて経時的な骨形成評価を、また組織学的・免疫組織化学的評価を行った。
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