本課題では、老化が歯周組織の病態生理に及ぼす影響を検討するために、歯根膜のECMタンパク産生制御におけるHeat-Shock Proteins(HSPs)の役割に焦点をあて解析した。老化ヒト歯根膜細胞ではコラーゲン特異的なHSP47の発現が低下し、三次元構造が変性したコラーゲンの生成の増加が明らかとなった。老化ヒト歯根膜細胞においては、変性コラーゲンの小胞体からゴルジへの細胞内輸送が障害されており、成熟コラーゲンの分泌が低下し小胞体ストレスが誘導されていた。さらにシャペロン活性化薬剤によりHSP47を含むHSPsの活性化が可能であり、老化ヒト歯根膜細胞のコラーゲン産生が回復することを見出した。
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