1)神経障害性疼痛モデルラットの確立:SDラットに眼窩下神経結紮を行い、7、14、21日目にvon Frey filament testを実施して疼痛閾値の変化を評価したところ、眼窩下神経結紮(CCI)群は疑似手術(Sham)群と比較し、14、21日目で逃避閾値が有意に低下していた。 2)三叉神経脊髄路核尾側亜核(Vc)におけるNetrin-1の発現についての検討:眼窩下神経結紮後14日目のラットを灌流固定し、三叉神経脊髄路核中間亜核(Vi)~上部頚髄(C2)を含むように摘出し凍結したのち、クライオスタットを用いてobexより頭側に1600μm、尾側に2300μmで厚さ30μmの連続冠状断切片を作製した。これらの切片のうち頭側から尾側まで720μm毎に6切片に一次抗体である抗Netrin-1抗体(1:800、INB100-1605)を反応させ、Vc~C1での発現を解析した。Sham群と比較してCCI群ではNetrin-1陽性細胞数が有意に多く認めた。 3)Netrin-1発現細胞の検討:さらに抗NeuN抗体(1:1000、MAB377)、抗Iba1抗体(1:1000、019-19741)、抗GFAP抗体(1:1000、G3893)を反応させ、VcにおけるNetrin-1の発現している細胞について解析した。CCI群でNetrin-1はVcではNeuNと一致して観察され、神経細胞に発現していた。Iba1やGFAPとは一致せず、Netrin-1は神経細胞の活動に関与している可能性が示唆された。またVcではSham群と比較してCCI群でNetrin-1陽性神経細胞が有意に多く、Netrin-1は口腔顔面の神経障害性疼痛における神経細胞の活動に関与していることが示唆された。
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