研究課題/領域番号 |
21K21087
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
坂井田 京佑 岡山大学, 大学病院, 医員 (20907927)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 真菌二次代謝産物Terrein / MRONJ / 骨粗鬆症 |
研究実績の概要 |
超高齢社会を迎えた我が国において,骨粗鬆症患者は約1,300万人に達し,年々増加している。骨粗鬆症の進行に伴い大腿骨近位部骨折や椎体骨折などが生じると,日常生活能力(ADL)が低下する大きな要因となる。そのため,骨粗鬆症の進行を抑制するために,BP製剤や抗RANKL抗体薬等の破骨細胞を標的とした薬剤の投与が推奨されている。これら既存の骨粗鬆症治療薬は病的骨折を効果的に予防できるため,内服する高齢患者数が増加している。しかし,大きな副作用の一つとして,顎骨壊死(MRONJ)の発症があり,その対応が歯科臨床現場では大きな問題となっている。そこで本研究では,既存薬とは異なる機序で破骨細胞の分化誘導を制御しうる真菌二次代謝産物TerreinがMRONJ発症病態に及ぼす影響を免疫学的視点から検証することを目的とする。 実験群に,①Terrein投与群(10-30 mg/kg),②BP製剤,または抗RANKL抗体投与群,③PBS投与群,の3群を設定し,対照群(偽手術[sham]マウス)に④PBS投与群を設定し,抜歯窩の治癒病態に各薬剤が及ぼす影響について検討中である。 具体的には,骨粗鬆症を誘導開始(卵巣摘出)と同時に各種試験薬を投与し(腹腔投与は週2回),卵巣摘出4週目にマウスの上顎第一大臼歯を抜歯し,さらに4週間試験薬の投与を継続して,卵巣摘出8週目に抜歯部の炎症状態をライブイメージング評価(XenoLight Rediject Inflammation ProbeおよびIVIS spectrum)を行った。その後,安楽死させ,上顎骨および大腿骨組織を摘出して,硬組織の状態をマイクロCT画像解析によって評価した。マイクロCT解析後のサンプルを用いて,パラフィン切片を作成し,抜歯部および大腿骨成長板下部における破骨細胞への分化状態はTRAP染色を用いて組織学的に評価した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
COVID-19感染拡大のため、計画していた動物実験の実施が予定通り進捗しなかった。骨粗鬆症マウスの抜歯がうまくいかず、実験が思うように進捗しなかった。今後は手技に慣れてきたためスムーズに実験を進められることが予想される。
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今後の研究の推進方策 |
顎骨壊死組織からmRNAを抽出して,次世代シーケンサーを用いて,NLRP3/Caspase-1/IL-1bやIL-36/TGF- bといった既報の顎骨壊死関連遺伝子の変化も含め網羅的解析を行う。そして,令和4年度の研究実施計画である顎骨壊死病巣部に集積する免疫細胞動態の解析を随時実施する。 具体的には,骨粗鬆症を誘導開始(卵巣摘出)と同時に各種試験薬を投与し(腹腔投与は週2回),卵巣摘出4週目にマウスの上顎第一大臼歯を抜歯する。その後,4週間試験薬の投与を継続して,卵巣摘出8週目に安楽死させ,上顎骨および大腿骨を摘出する。摘出組織から,抜歯窩を含む上顎骨および大腿骨成長板周囲軟組織を採取し,Mizrajiらの方法(2013)を用いて細胞を分離する。そして,各種免疫担当細胞特異的表面マーカで染色後,Flow Cytometryにて免疫細胞(好中球,マクロファージ[M1またはM2],CD4陽性IL-17A陽性Th17細胞等)の動態を解析する。また,病巣局所で産生される炎症性サイトカインの定量は,定量性real-time PCR法を解析する。なお,解析に必要なFACS装置およびソフトウェア等は学内共同施設に具備されており,本実験を滞りなく行うことは可能である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19感染拡大に伴い、購入予定の試薬等の納入に時間を要した。また、計画していた動物実験の実施が予定通り進行できなかった。次年度、本年度予定していた動物実験を継続して実施し、解析を進める予定である。
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