研究課題
本研究は,悪性腫瘍におけるGPRC5Bの機能解析を行うことを目的とした研究である。公開データベースProtein Atlasを用いて、頭頸部、乳房、胃、膵臓、大腸の各がん患者を対象にがん組織中のGPRC5Bの発現レベルと予後を調査したところ、データベース解析では、頭頸部をはじめ対象とした各がん患者はいずれも、がん組織中のGPRC5Bが高発現している群で5年生存率が低かった。頭頸部扁上皮癌細胞株6種を用いて、GPRC5Bの発現と培地中の糖濃度依存的な生存活性を比較検討したところ、GPRC5Bの発現が高い細胞株ほど、培地中の糖濃度低下による飢餓ストレス下においても生存活性が高い傾向を示した。さらに、最も発現の少なかった細胞株にGPRC5Bを強制発現させコントロール細胞(Mock)との比較検討を行ったところ、糖不含培地培養下におけるGRRC5B強制発現細胞株は、Mockと比較してアポトーシスが有意に抑制されていることが分かった。これらのことから、多くのがん種においてGPRC5Bが予後因子として作用する可能性が示唆された.また、GPRC5Bは頭頸部扁平上皮癌細胞株において、糖飢餓によって誘導されるアポトーシス回避への関与が考えられた.
すべて 2023
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件)
Biomedical Research (Tokyo)
巻: 44 ページ: 1-7
10.2220/biomedres.44.1