研究当初予定していた自治体でのデータ提供が得られなくなったため,データ提供を受ける自治体の変更および提供データの確認,研究計画の大幅な修正を行った。 最終的に,所属先である大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターが提供を受けている,大阪府下全72市町村の後期高齢者医療保険データである被保険者台帳およびKDBデータ5年分と,寝屋川市の国保,後期高齢者医療保険加入者の被保険者台帳およびKDBデータ10年分を許可のもと本研究でも利用した。 2022年度は,データ提供元の大阪府後期高齢者医療広域連合および寝屋川市が管理している匿名加工情報であるKDBデータを,データ構造を保持したまま抽出し,データ加工および解析用コホートの構築を行い,データ分析および結果の評価を実施した。具体的には,大規模データ加工が可能となるデータステーション環境を構築したのち,被保険者台帳を用いて被保険者期間を設定し,研究計画に基づいた暴露因子およびアウトカムの設定を行い,コホートを作成した。作成したコホートを用いて,歯科健診や特定健診から得られた口腔機能や身体機能と,フレイル等の介護予防要因との関連性を疫学的手法を用いて後ろ向きコホート研究で検討した。 また,効果的な保健指導の検討を目指すために,2022年度は寝屋川市の健康づくり推進課の保健師と協力体制を構築し,大阪大学キャンパスライフ健康支援・相談センターおよび大阪大学附属病院に所属する産業医・腎臓内科医の参画のもと,寝屋川市保健師に同行して地区分析を行い定期的な保健指導会議を開催した。さらに,歯科保健に関しては,大阪大学大学院歯学研究科と連携し,歯科医師の視座から専門的な助言を受けた。 本研究で得た成果は,今後論文としてまとめ国際誌に投稿とするとともに,新たな発展研究として保健指導の効果検証を行い,実践モデルの構築を目指していく。
|