本研究の目的は、在宅医療の選択と利用に影響する個人の社会経済的要因(所得等)のうち重要度の高い客観的指標を特定することである。具体的には①悉皆性の高い全国のレセプトデータ(診療報酬明細書)を活用して、全年齢の在宅医療の利用と個人の所得との相互関連性を明らかにする、②在宅医療の利用に影響する地域要因を抽出した。これらの分析には複数の地域レベルと個人の階層とを考慮したマルチレベル分析を用いた。本研究では個人の社会経済的状況を考慮した、在宅医療の効率的かつ公平な普及に資するエビデンスの創出を計画しており、高齢者の健康格差是正の施策立案につながる基礎資料として貢献した。
|