研究課題/領域番号 |
21K21112
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
糀屋 絵理子 大阪大学, 医学系研究科, 助教 (60896455)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢者 / 地域包括ケア / 多職種連携 / 情報ネットワーク |
研究実績の概要 |
本研究は、地域包括ケアシステムにおける医療連携の在り方として、看護師が主導する生活機能を中心とした新しい連携ネットワークの有用性を明らかにすることを目的とし、実施している。2021年度は、研究協力機関である、訪問看護ステーション、在宅訪問支援診療所、大学病院医療情報部のスタッフに対し、高齢者を対象とした、医療連携のニーズを把握するため、ヒアリングを実施した。また併せて、先行研究の系統的レビューを行った。その結果、研究当初に課題として捉えていた「病院・地域間」の連携不足の前に、「病院内」「地域内」での医療連携が不足している現状が明らかとなった。また、連携する職種についても、先行研究では医師、看護師をはじめ、コメディカルを含む全ての職種が一堂に会し、患者をサポートしていく形が望ましいとされていたが、現場では多忙が故に、効率的で持続可能な連携の形が望まれていた。そこで、本研究では、高齢者の生活に沿ったケアを提供する「看護師」と「薬剤師」に注目し、看薬連携による介入に焦点を当て、次年度以降、高齢患者のポリファーマシーや老年症候群をアウトカムとした介入研究を予定している。 また、地域医療者間での情報連携において、オンライン上の掲示板アプリが導入されているケースが散見されたが、変化の多い患者に対してのみ、また中心的にかかわっている職種のみの一時的な情報のやり取りに限られている現状が明らかとなった。患者を中心とした、経時的な情報の変化に対応するため、本研究は、掲示板機能と併せて、患者カルテ機能を搭載し、患者のケアスケジュールや診療内容を多職種で共有し、情報量を統一したうえで、ケアに対する情報交換を可能とした。次年度以降、この新しい情報連携ツールを試験的に導入し、基礎データを収集する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
医療連携の焦点を変更した点で、研究内容の再検討に時間を要した。また、研究協力機関とのディスカッションを通して、新たなツールの導入を試みるなど、申請当初より新たな検討事項が増えたため、介入開始に時間を要している。
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今後の研究の推進方策 |
今年度は看薬連携による介入に備え、協力機関と介入プロトコールを引き続き検討する予定である。プロトコールの作成と並行して、データベース作成に向けた収集項目の検討、調査用データフォーム作成を行う予定である。また、新たな情報連携ツールについては、同意が得られた訪問看護ステーション、在宅訪問支援診療所を中心に、今年度より試験的に導入していく方針であり、順次基礎データを収集する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度より調査が開始となるため、今年度の学会発表や論文化に使用予定であった予算は次年度へ繰り越しとなった。また、新型コロナウイルス感染症の影響により、学会への現地参加や、他研究者、専門家との打ち合わせに使用予定であった旅費が使用できなかったため、次年度使用額として計上した。
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