研究課題
本研究は、地域包括ケアシステムにおける医療連携の在り方として、看護師が主導する生活機能を中心とした新しい連携ネットワークの有用性を明らかにすることを目的とし、研究を遂行した。2021年度は、研究協力機関である、訪問看護ステーション、在宅訪問支援診療所、大学病院医療情報部のスタッフに対し、高齢者を対象とした、医療連携のニーズを把握するため、ヒアリングを実施した。また併せて、先行研究の系統的レビューを行った。その結果、研究当初に課題として捉えていた「病院・地域間」の連携不足に介入する前に、「病院内」「地域内」それぞれの連携不足に介入すべき現状が明らかとなった。また、連携する職種についても、先行研究では医師、看護師をはじめ、コメディカルを含む全ての職種が一堂に会し、患者をサポートしていく形が望ましいとされていたが、現場では多忙が故に、効率的で持続可能な連携の形が望まれていた。そこで、本研究では、高齢者の生活に沿ったケアを提供する「看護師」と「薬剤師」に注目し、看薬連携による介入に焦点を当て、高齢患者のポリファーマシーや老年症候群をアウトカムとした介入研究を目標とすることとした。また情報連携の手段として、ICTに注目し、オンライン上の多職種連携アプリを導入することとした。患者を中心とした、経時的な情報の変化に対応するため、本アプリでは、掲示板機能と併せて、患者カルテ機能を搭載し、患者のケアスケジュールや診療内容を多職種で共有し、情報量を統一したうえで、ケアに対する情報交換を可能としている。共同研究機関の協力のもと、アプリを順次導入し、2022年度よりアプリの効果検証を開始している。研究期間終了後も、継続してアプリの普及を進めるとともに、訪問看護ステーションと調剤薬局とともに、「看薬連携」の介入試験を目指し、具体的に検討を行う予定としている。
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