本研究の目的は、産後1年間に母親が求める支援の経時的変化を明らかにし、産後ケアに関する母親のニーズを測定する尺度を開発することである。 令和3年度は、尺度作成のための項目抽出にあたり、文献検討、質問票の作成、プレテストを実施した。 令和4年度は、産後の母親自身の体調や生活、育児に関する困りごと、受けているサポートの内容と満足度、希望する産後の支援について、1歳未満の児を養育している母親を対象にインターネットアンケート調査を実施した。産後4か月以内の母親および産後5か月以上の母親それぞれ309人、合計618人より得た回答を分析した。その結果、産後4か月以内と5か月以上では、母親の困りごとおよび受けているサポートの内容に差がみられた。 令和5年度は更に分析を進め、産後1年までの母親の困りごとについて探索的因子分析を実施し、因子モデルを検討した。また、母親の産後のケアニーズに関する自由記載内容を質的記述的に分析した。 産後4か月以内と比較し、産後5か月以上の母親において、児の成長・発達に合わせた離乳食や適切な遊び、育児技術の再習得、社会復帰に伴う仕事と家事・育児の両立など、これまで実施されてきた標準的な産後ケア内容では対応が不十分な困りごとがみられた。さらに、産後5か月以降は、助産師等の看護職からのサポートに代わり、保育職や自助グループからサポートを得ており満足へ繋がっていることが明らかになった。保育、家事、栄養、運動、母親の仕事復帰や就職活動に伴う家族役割の再調整など、より多方面から産後ケアを実施する必要性が示された。
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