研究課題/領域番号 |
21K21115
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
有馬 弘晃 長崎大学, 熱帯医学研究所, 助教 (30909122)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 出生性比 / ルワンダ / 向精神物質 / 妊婦 |
研究実績の概要 |
妊娠成立時の性比は1:1であるが、胎児期の女児流産率が高いことから、結果的にヒトでは男児がわずかに多く生まれていると考えられている。このようなヒトの出生性比の偏りは普遍的にみられる現象だが、これが当てはまらない事例、つまり男児のほうが少なく産まれるケースが特定の条件で起こり得ることが分かってきた。その多くは妊婦が心理的ストレスもしくは身体的ストレスを抱えている場合である。しかし、なぜ妊婦がストレスを抱えると男児の出生割合が低下するのかについては未だ詳細に明らかにされていない。本研究課題では、妊婦における向精神物質(タバコ、アルコール、薬物)の摂取が身体的ストレスとなり出生性比を低下させているかを明らかにすることを目的としている。 初年度は、ルワンダ農村部の妊婦における向精神物質の摂取状況を取りまとめ、妊娠中にもアルコールや薬物を摂取している妊婦がいることが明らかになった。また、予期せぬ妊娠やDVなどが妊娠鬱もしくは不安障害に関連していたことも明らかになった。さらに、これらの向精神物質の摂取状況や心理的ストレスが出生性比を低下させている可能性を示唆する結果を得た。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ルワンダのミビリジ病院に通院している妊婦を対象とした調査データから、アフリカの妊婦にける向精神物質(タバコ、アルコール、薬物)の摂取状況を初めて明らかにした。また、妊婦におけるこれら向精神物質の摂取経験や妊娠中の心理的ストレス因子が統計学的に出生性比を低下させていることを示唆する結果を得た。現在、論文執筆中であり、R4年度前半での投稿を目指している。
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今後の研究の推進方策 |
現在、さらなる調査解析に向けて、所属している熱帯医学研究所の倫理委員会及びルワンダ大学の倫理委員会へ倫理審査申請をする準備中である。今後は胎児の母体血中サイントカイン濃度に対する脆弱性に性差が存在しているかを明らかにすることを試み、向精神物質の摂取状況だけでなく、母体の生理学的反応が出生性比にもたらす影響も評価していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度実施予定であった検体採取を含むフィールド調査が遅れているため、次年度使用額が生じた。同調査を次年度に行い、物品費や旅費、人件費等に使用の予定である。
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