研究課題/領域番号 |
21K21118
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研究機関 | 横浜市立大学 |
研究代表者 |
新井 悠介 横浜市立大学, 医学部, 助教 (30828554)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 働き方改革 / 手術室業務の効率化 / 麻酔科医 / 周麻酔期看護師 |
研究実績の概要 |
本研究は、手術室に従事する麻酔科医・看護師の働き方改革を効率的かつ有効に進める方策を検証することを目的として、「Ⅰ.周術期業務の詳細な解析と効率化の定量」、「Ⅱ.周麻酔期看護師の活用による麻酔科医の働き方改革に関する研究」を並行して進めている。 Ⅰ.周術期業務の詳細な解析と効率化の定量 当施設では術前外来(麻酔科医による診察と麻酔方法の説明、手術室看護師による問診と周術期の注意点の説明)において、すべての説明を対面で実施しているが、大多数の患者に共通する説明内容については予め動画を見てもらうことにより対面での説明を省略できるため、大幅な業務の効率化が期待できる。動画導入前後において、麻酔科医及び看護師の説明時間を実際に計測(ICレコーダーによる録音データを使用)することとしており、当施設の倫理委員会での審査終了した上でデータ収集に着手している。また多くの患者には麻酔科医と看護師で重複した内容の説明を行っているため共同で動画作成を進めており、術前外来として一体的な効率化が期待できる。 Ⅱ.周麻酔期看護師の活用による麻酔科医の働き方改革に関する研究 1名の麻酔科医が2名の周麻酔期看護師を統括し、2名の患者の麻酔管理を安全に行えるか(以下、「1:2体制」とする。)の検証を進めている。1:2体制の安全性を証明することで麻酔科医から看護師へのタスクシフトの推進が期待できる。安全に検証を進めるために、周麻酔期看護師の業務範囲に関する取り決めを策定し当施設内において合意を得た。本研究では客観的に1:2体制の安全性を検証するため、ビデオカメラで麻酔管理の様子を撮影し、麻酔記録等と併せて第三者評価を実施する予定としており、倫理委員会での審査、詳細な研究スキームの検討を並行して進めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
Ⅰ.周術期業務の詳細な解析と効率化の定量 2022年2月~3月の期間において、動画導入前の麻酔科医および看護師の説明時間について計測を実施した。並行して看護師と共同で動画を作成中である。 Ⅱ.周麻酔期看護師の活用による麻酔科医の働き方改革に関する研究 周麻酔期看護師が行う麻酔診療の補助に関する取り決め、統括する麻酔科医の要件、安全性を担保するための1:2体制の運用上の取り決め等について整理し、施設内で合意を得た。本研究のデータ収集の許可について、2022年3月末時点で倫理委員会審査中である。
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今後の研究の推進方策 |
Ⅰ.周術期業務の詳細な解析と効率化の定量 2022年6月末を目途に動画を完成させ、関係者間の合意を得る。7月中に術前外来に動画を導入し8月末まで試運用した後に、9月から約2か月間で動画導入後の外来にかかる時間を計測する予定である。 Ⅱ.周麻酔期看護師の活用による麻酔科医の働き方改革に関する研究 2022年4月に本研究に関する倫理審査は終了したため、5月中に5日程度(1日あたり2症例)のトライアルを実施し、6月~12月でデータ収集する予定としている。なお、収集したデータは順次、第三者評価を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度には「Ⅰ.周術期業務の詳細な解析と効率化の定量」においてデータ収集に際して必要な物品費等を支出した。研究の進捗として、基準の策定、関係者間の調整、倫理審査等に時間を費やしたため、予定していた経費の支出がなかった。 2022年度には「Ⅱ.周麻酔期看護師の活用による麻酔科医の働き方改革に関する研究」において使用する物品費、第三者評価のための謝金、学会発表や論文執筆など学術活動に関する支出を見込んでいる。
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