研究実績の概要 |
今回の研究の目的は、外科的切除を受ける胆道癌患者の転帰に対する術前の体組成の影響を調べることで、(1)システマティックレビューで胆道癌の転帰に対する体組成の影響を調べ、(2)実臨床データを用いて、外科的切除した胆道癌患者に対して、体組成の影響を考察することであった。 (1)は、29研究4,443人を組入れて、胆道癌患者において体組成によって評価された低筋肉量と低筋肉質の両方の術前サルコペニアが術後合併症と無増悪生存期間、全生存期間に悪影響を与えることを初めて示した(Watanabe, et al. Clin Nutr. 2022;41:321-328)。 (2)は、実臨床データを用いて、肝門部胆管癌患者において、体組成で評価される骨密度減少を示すオステオペニアが全生存期間に悪影響を与えることを初めて示した(Watanabe, et al. Cancers (Basel). 2022;14:2213)。また、術前オステオペニアは術前サルコペニアよりも予後に悪影響を示しており、サルコペニアと独立した予後不良因子である可能性を示唆した。 また、その他の関連する研究として、術後コーヒー摂取が腹部手術後の術後イレウスと入院期間を低下させることを示した(Watanabe, et al. Nutrients. 2021;13:4394)。また、根治的順行性モジュラー膵臓脾臓切除術が予後に影響しないことを示した(J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2022;29:1156-1165)。最終年度は、T1結腸直腸癌において、追加染色はリンパ節転移陽性の診断精度を高めることを示した(Watanabe, et al. Dig Endosc. 2023)。
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