虐待被害の有無は,被虐待者の訴えや身体所見から判断されており,客観的な評価は難しいため,虐待被害の新たな指標が社会的に求められている。また,マウスの母子分離処置は,児童虐待ストレスとメチル化変化との連関を検証するために有用な実験モデルである。Myt1lなどの一部の遺伝子におけるCpG配列のメチル化は,ヒトの虐待被害とマウスの母子分離ストレスとの間で共通することが示唆された。DNAメチル化率の変化に基づいたヒトにおけるネグレクト被害の存否を示す分子生物学的な指標の開発のために,マウスを用いた母子分離実験によるストレスの曝露量とDNAメチル化の変化量との関連性解明へつながる研究成果が得られた。
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