研究実績の概要 |
2019年の新型コロナウイルス感染症(coronavirus disease 2019, COVID-19)のパンデミック発生から5か月以後、思春期の自殺率は前年比約150%増加していることが報告された。COVID-19は収束の兆しが見えず、若年世代のメンタルヘルス不調(=精神的不健康)への支援は長期的視野を要する。また、パンデミック以前に有効だった支援策が、生活様式の変化に伴い、十分な効果を発揮していない可能性がある。本研究では、一般の中学・高校と連携して思春期の生徒を長期追跡する大規模疫学調査を実施し、精神的不健康の有病率と予防/危険因子を明らかにする。 本研究では、思春期の子どもを長期追跡し、精神的不健康の有病率と予防/危険因子(睡眠・運動習慣、対人関係、都市部での生活、等)を明らかにする。このために、一般の中学・高校と連携して学校集団単位の無記名式疫学調査(School Adolescent Behaviour and Care study, S-ABC)と生徒個人単位の記名式疫学調査(Longitudinal design for school Adolescent Behaviour and Care study, L-ABC)を行う。本研究は2023年度まで行うことを目標としているが、本申請では2021年度と2022年度の調査を対象とした。また、社会活動として学校現場への調査結果をフィードバックし、東京大学医学部附属病院精神神経科スタッフによるメンタルヘルスの出前授業も実施してきた。さらに、学校現場への啓発活動を目的としたウェブサイト(サポティーン:https://supporteen.jp/)を開設し、調査結果を公表した。
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