研究実績の概要 |
本研究の目的は、COVID-19蔓延期に行政と病院間で行われた報告、連絡、相談の実態を明らかにすることであり、研究対象は日本全国の都道府県庁および保健所、病院の計8,705であった。2021年度にアンケート調査を実施し、2022年度より集計および分析を開始した。研究参加者は、行政32施設、病院294施設の計326件の回答を得た。回答は、南関東72件(22.1%)が最も多く、全ブロックからの回答を得た。 行政と病院間での連絡において、FAX、電話、メール、オンラインシステムが活用され、これらツール間での差はなかった。オンラインシステムは、全国的に展開されたG-MISの使用ありが188件(87.0%)、なしが28件(13.0%)、HER-SYSの使用ありが181件(83.8%)、なしが35件(16.2%)と多くの施設で活用されていた。一方で、都道府県ごとのシステム等もあり、複数システムの運用による業務量の増加についての意見があった。また、このような対応を行う担当部門、担当者の配置については、専任のみ34件(10.4%)、兼任のみ129件(59.7%)、専任と兼任53件(24.5%)と、兼任者が対応する施設が多かった。さらに担当のうち災害分野を専門とする人材の配置が18施設で行われていた。相談先については明確であった139件(88.5%)であり、相談の結果、適切な回答が得られたと概ね適切な回答が得られたを合わせて150(95.5%)と高い評価であった。災害に関するBCPやマニュアルに、行政と病院間等の連絡体制に関する記載がある146件(44.8%)であるにも関わらず、BCPやマニュアをCOVID-19対応において活用した57件(17.5%)、していない269件(82.5%)という結果であった。本研究結果は、次なる新興感染症や自然災害発生に向けた備えにおいて重要な指針となりえる。
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