研究課題/領域番号 |
21K21139
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
田中 さとみ 九州大学, 医学研究院, 助教 (50909299)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 臓器移植 / 新型コロナウイルス感染症 / 感染予防 / 抑うつ |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、新型コロナウイルス感染症の感染予防行動と認識に関する尺度日本語版を作成し、信頼性と妥当性を検証したうえで、腎臓と肝臓移植後患者の COVID-19 への感染予防行動と認識、抑うつレベルを明らかにし、健常者と比較することである。 令和3年度は、新型コロナウイルス感染症への感染予防行動と認識に関する尺度日本語版の翻訳および信頼性・妥当性の検証を実施予定であったが、専門家委員会で検討し尺度項目を参考にしてアンケート調査を実施した。フィールド調査では、移植後6か月以上経過した20歳以上の肝臓移植・腎臓移植患者を対象者とし、抑うつと新型コロナウイルス感染症の感染予防行動と認識に関するアンケート調査を外来で実施した。再移植が必要な者、抑うつの既往がある者、血液透析中の者は除外した。調査の結果、肝臓移植後患者134名、腎臓移植後患者70名および患者と同居する健常者から回答を得た。肝移植後患者(平均年齢:62.2歳、男性51名、移植後年数8.3年)において、移植外来を新型コロナウイルス感染症に関する主な情報源として利用している者はわずかであった。また、肝移植後患者は健常者に比べて同居者より感染することを恐れ、新型コロナウイルス感染症への感染予防行動として、同居者より外出頻度を減らしている実態が明らかになった。さらに、対象者の約25%は軽度以上のうつがあることが示された。今後は、肝移植後患者のうつの関連要因の検討、腎移植後患者の分析を実施し、論文執筆を行う予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究実施施設の協力により、感染対策を十分に講じた上で対象者へのフィールド調査をスムーズに実施することができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、データの分析、論文執筆を進めていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、参加予定の国内・国際学会がオンライン開催となったため計上していた旅費を使用しなかった。また、統計分析に関して計上していた費用を使用しなかった。 次年度は、学会参加のための旅費・参加費や分析・論文執筆に関するアドバイザー費、英文校閲費、学術雑誌投稿料に使用する計画である。
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