研究成果の概要 |
肝・腎移植後患者204名を対象に,COVID-19流行禍の感染予防行動と認識, QOL,抑うつを明らかにし,抑うつとの関連を探索した。感染予防行動と認識は先行研究を参考に自記式質問紙を作成し,抑うつはPHQ-9,QOLはSF-8で評価した。 患者の約30%は抑うつがあり,中等度以上は8.3%であった。抑うつの患者は主観的精神的QOLが低く,糖尿病,COVID-19に関する情報が十分にないこと,病院で感染することへの過度な恐怖は抑うつの関連要因であった。移植外来を情報源として利用している者は2.5%であり,移植後患者のメンタルヘルスの維持のために医療者からの正しい情報提供の必要性が示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
本研究より,COVID-19パンデミック中の腎移植・肝移植後患者において,抑うつは主観的QOLの低下に関連しており,糖尿病を併存していること,COVID-19に関する十分な情報がないこと,病院で感染することへの過度な恐怖が抑うつの独立した関連要因であることが示された。移植後患者は,免疫抑制剤を生涯内服することから感染ハイリスク群であり, 本研究のでの成果は,今後新興感染症が発生した場合においても,移植後患者のメンタルヘルスの危機に対応するために必要な看護支援への示唆を与えることができると考える。
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