研究課題/領域番号 |
21K21140
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
小川 晃平 長崎大学, 医歯薬学総合研究科(歯学系), 客員研究員 (80908533)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 新規高分子Rabタンパク質 / Rab44 |
研究実績の概要 |
関節リウマチは自己免疫による関節破壊が起こるために介護や看護が必要となる疾患である。主な原因は破骨細胞や免疫細胞の制御異常により惹起すると考えられている。我々は独自の研究から、破骨細胞や免疫細胞に発現する新規遺伝子Rab44を見出した。一般的にRabタンパク質は細胞内の小胞輸送を制御している。Rab44は従来の低分子量Rabタンパク質とは異なり、いくつかのドメイン構造を有する高分子量Rabタンパク質である。しかし、Rab44の生体内での機能は未だ明らかになっていない。本研究の目的は、関節リウマチにおけるRab44の役割を解明することである。そのためにRab44のノックアウトマウスを用いて、関節リウマチのモデル実験を行い、本マウスでの病態を解析する。本研究によって免疫細胞や破骨細胞での細胞内小胞輸送の新たな一面を解明し、予防・診断・治療への応用に繋げる。令和3年度に実施した実験は以下の通りである。 1)Rab44の構造解析:Rab44遺伝子を大腸菌で発現・精製し、リコンビナントタンパク質の結晶構造解析を行った。Rab44はマルチドメインタンパク質であるため、PONDR解析により立体構造を形成しにくい領域(disorder領域)を含むことがわかっている。全長タンパク質での結晶化に加えて、ドメインごとに結晶化を試みている。 2)Rab44遺伝子欠損マウスでの関節リウマチ・モデル解析:コラーゲン関節炎はII型コラーゲンに対する自己抗体により惹起される慢性炎症性疾患である。具体的な方法として、II型コラーゲンに対するモノクローナル抗体カクテルをマウスに皮下投与し、さらにLPSを腹腔内投与して関節炎を誘導した。免疫後4週から関節炎が発症し、7-8週で炎症のピークに達すると予想される。このモデルを用いて、野生型とRab44欠損マウスの病態の比較を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
独自に作製したRab44欠損マウスの表現型を解析している所である。次に現在、血液検査および組織学的解析を行っているが大きな差異は見当らず、生化学的検査を行う予定である。Rab44遺伝子欠損マウスでの関節リウマチ・モデル解析ではコラーゲン関節炎はII型コラーゲンに対する自己抗体により惹起される慢性炎症性疾患である。具体的な方法として、II型コラーゲンに対するモノクローナル抗体カクテルをマウスに皮下投与し、さらにLPSを腹腔内投与して関節炎を誘導した。条件検討は概ね予定通りに進んでおり、例数を重ねている。従って、遅れている実験項目と早く進んでいる実験項目があり、総じて順調に進展していると判断できる。
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今後の研究の推進方策 |
野生型マウスと欠損マウスを用いて血液検査および組織学的解析を行っているが大きな差異は見当らず、生化学的検査を行う予定である。 Rab44 遺伝子欠損マウスでの関節リウマチ・モデル解析では、現在条件検討の基礎実験を行っている。条件が決まり次第検討を開始する。
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次年度使用額が生じた理由 |
未使用が90万円余になっているが、これはRab44の構造解析を最初に行っており、予備実験ではそれ程経費が掛からなかったためである。さらにコロナ禍の影響で学会発表がすべてオンライン開催となり、旅費が発生しなかったのも原因の1つである。次に行う関節リウマチ・モデル解析ではモノクローナル抗体カクテルの経費が掛かると予想されているため、今後はこの解析に必要な試薬類の購入に充てる予定である。
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