研究課題/領域番号 |
21K21145
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研究機関 | 医療創生大学 |
研究代表者 |
飯倉 充美 医療創生大学, 国際看護学部, 准教授 (70845213)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 新人看護師 / ワーク・エンゲイジメント / エスノグラフィー / レジリエンス / 組織風土 / マインドフルネス |
研究実績の概要 |
本研究は新人看護師のワーク・エンゲイジメント(仕事に関連するポジティブで充実した心理状態のことで、活力、熱意、没頭により特徴付けられる概念)(Schaufeli et al, 2002)について、影響を与える要因を明らかにし、看護基礎教育や卒後教育に求められるワーク・エンゲイジメントを強化する方略を検討することを目的としている。 本年度就職している新人看護師はCOVID-19の影響を大いに受けていることが予測され、一般的に用いられているワーク・エンゲイジメントの測定尺度(日本語版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度)での測定が妥当ではない可能性も鑑み、COVID-19下における新人看護師のワーク・エンゲイジメントがどう育まれているのか、ワーク・エンゲイジメントに含まれる下位概念は測定尺度と一貫性があるのかを検討するためにエスノグラフィーという質的研究手法を用いて、2022年5月~2023年3月までシャドウイングとインタビュー調査を行った。 その結果、COVID-19による新人看護師への影響は、入職前では【対面教育機会の減少】【他者との関わりの少なさ】、入職後では、【スタッフのCOVID-19感染に伴う業務過多】や【防護服の着脱に伴う業務効率の低下】、【患者家族との関わりの難しさ】などがあった。新人看護師のワーク・エンゲイジメントで特徴的だったのは、入職してからの初期段階では下位概念の一つである「没頭」が非常にネガティブな意味合いで使用される場面が多く、日本語版ユトレヒト・ワーク・エンゲイジメント尺度を用いた測定は、入職後半年を過ぎた場面での使用が適切であることが示唆された。 また並行してワーク・エンゲイジメントを向上させる可能性のある介入方法の模索として、マインドフルネス介入についてレビューを行った。その結果、マインドフルネス介入を病棟などの組織単位で行うことはワーク・エンゲイジメントを向上させる可能性があることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
初年度の文献検討の結果、研究計画で使用を予定していた尺度での測定が不適切である可能性が示唆され、エスノグラフィーを実施した。これにより当初の研究計画とは変更が生じているが、変更後の進捗状況としては順調であるため。
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今後の研究の推進方策 |
エスノグラフィーを結果をもとに、当初の計画通り、研究①「卒業年次のレジリエンスが新人看護師のワーク・エンゲイジメントに及ぼす影響」の卒業年次のレジリエンスについては、4年次1月を目途に質問紙調査を実施する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画の変更に伴い、量的研究のデータ管理を委託する予定が延期となった関係で使用予定額に変更が生じている。
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