研究課題
令和3年度からの継続課題「急性期で尿失禁を有する脳卒中入院患者(研究対象者)の失禁関連皮膚炎の有病率調査および細菌の分離培養」を実施した。月に1回以上の調査日を設け、失禁関連皮膚炎の有無およびその重症度について調査を行った。調査対象部位は肛門周辺、臀裂部、左臀部、右臀部、性器部(陰唇部/陰嚢・陰茎)、下腹部/恥骨部、左鼠径部、右鼠径部の8部位とした。有病率調査と同時に、患者の陰部周囲から皮膚細菌検体を採取し、菌種の特定のための分離培養を行った。結果の信頼性および研究対象者の安全性を担保するため失禁関連皮膚炎の有無とその重症度のアセスメントは皮膚・排泄ケア認定看護師の資格を有する研究分担者とともに実施した。病院看護部と月に1回のミーティングを設け、円滑な研究実施体制を整備した。本研究課題の申請時における当初の研究目的に対し、以下の成果を得た。①研究対象者の失禁関連皮膚炎の有病率は約50%にも達した。②陰部皮膚に定着する細菌バイオフィルム形成能がIAD保有群で有意に高かった。③臨床研究とは別に、実験室レベルでのバイオフィルム形成実験手法を確立した。当初予期していなかったが本研究を通じて得られた新たな知見として、以下の成果を得た。①失禁関連皮膚炎の発生要因として陰部皮膚pH上昇に着目し、そのpH上昇の原因がウレアーゼ産生菌にあると仮説した。②本研究の研究対象者のうち、失禁関連皮膚炎の保有者は未保有者と比較してウレアーゼ産生菌の保有率が有意に高いことを明らかにした。
すべて 2023 2022
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件) 学会発表 (3件) (うち国際学会 1件)
International Wound Journal
巻: - ページ: -
10.1111/iwj.14209