研究課題
本年度は、The Scenario Test日本語版(ST-JP)が前年度までに完成していたため、ST-JPの心理測定学的特性(内的整合性信頼性、再検査信頼性、検査者内信頼性、検査者間信頼性、併存的妥当性、収束的妥当性) を検討し臨床活用での精度を検証する横断的研究を実施した。さらに、ST-JPの有益性を社会に還元することを目的として、横断研究の結果を英語の論文として影響力のある雑誌に投稿し受理された。横断研究においては、慢性期の失語症を持つ方(失語症者)と彼らと年齢をマッチさせて健常者を対象とし、横断的にデータの収集を行った。その結果、事前に設定したサンプルサイズであった40名弱の失語症者と30名弱の健常者のST-JPおよびその妥当性を解釈するために使用するその他の神経心理学的検査の測定結果を得ることができた。さらに、10名~20名のST-JPの検査動画を5名の言語聴覚士が採点した。そして、取り込み基準に該当する解析対象者をとなる対象さであった失語症者34名、健常者27名のデータ、および外部の検査者の採点結果を解析し、良好な内部整合性信頼性、再検査信頼性(失語症者17名)、検査者内信頼性、検査者間信頼性、併存的妥当性、収束的妥当性を示す結果が得られた。以上のことから、本研究で開発したST-JPが対象とした慢性期の失語症者の対話的なコミュニケーション能力を測定する適切な評価尺度であることが示された。これらの結果を英論文化し、失語症研究を世界的にけん引する英国のThe Royal College of Speech and Language Therapistsの機関紙であるInternational jounal of communication and language disordersに投稿し受理された。
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International Journal of Language & Communication Disorders
巻: In press ページ: In press
10.1111/1460-6984.13040
PLOS ONE
巻: 18 ページ: online
10.1371/journal.pone.0281231