研究課題/領域番号 |
21K21161
|
研究機関 | 東京医科歯科大学 |
研究代表者 |
川本 祐子 東京医科歯科大学, 大学院保健衛生学研究科, 助教 (70527027)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 過敏性肺炎 / 抗原回避 / 患者 / 家族 / 医療支援ニーズ |
研究実績の概要 |
過敏性肺炎患者に対する第一の治療は、徹底的な抗原回避(原因抗原の吸入や接触を回避すること)である。しかし、徹底的な抗原回避の実施や長期にわたる継続は困難な場合も多く、医療者による継続的な支援が必要となる。現状では抗原回避を促す支援方法は十分に検討されていないが、抗原回避の実施状況が患者の病状進行や予後へ影響を及ぼすため、支援方法の確立は喫緊の課題である。 過敏性肺炎患者の継続的な抗原回避を促す支援方法を確立に向けた第一段階として、本研究では、過敏性肺炎患者およびその重要他者である家族の抗原回避過程における医療支援ニーズを網羅的に解明することを目的とし、2つの調査(面接調査と文献調査)を用いて解析を行う。 2021年度は、主として面接調査に取り組んだ。抗原回避の必要性を指摘された過敏性肺炎患者およびその家族に面接調査への参加協力を依頼し、当初の研究実施計画のとおり2021年12月までにデータ収集(研究対象者1名につき1-2回の半構造化面接の実施)を完了した。対象者の許可を得て録音した面接時の音声データから逐語録を作成した後、内容を何度も精読し、療養体験について過敏性肺炎患者およびその家族が語った内容から、抗原回避を実施する過程で患者およびその家族が抱える医療支援ニーズを抽出し、質的に分析した。面接調査の結果は、本研究の根幹となる重要な成果であり、2022年度に実施する補足的な文献調査の方向性を決めるものとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の研究実施計画のとおり2021年12月までにデータ収集を完了した。COVID-19の感染拡大が持続するなか、幸いにも多くの過敏性肺炎患者およびその家族の参加協力を得ることができた。予定では2022年3月までに全データの分析を完了する予定であったが、患者から得た多数の面接データの分析は概ね完了したものの、家族から得た面接データの分析は2022年度も続ける必要がある。
|
今後の研究の推進方策 |
2022年度は、まずは家族から得た面接データの分析に取り組み、完了させる。その後、補足的な文献調査を行う。2019年4月までに発表された過敏性肺炎患者の抗原回避に関する文献については、概ね内容を把握できているため、それ以降に発表された文献を中心に調査を行う予定である。
|
次年度使用額が生じた理由 |
次年度使用額が生じた理由は主に2点ある。 1.2021年度から研究補助者を雇用する予定であったが、研究の進捗状況と依頼する業務内容を考慮し、2022年度から雇用することにしたため 2.学会参加費が想定よりも低額であり、かつ、オンライン参加により旅費が不要となったため 次年度に繰り越す助成金については、人件費およびその他(学会参加費、論文投稿費用等)として使用する予定である。
|