研究実績の概要 |
本研究は、乳がん術後リンパ浮腫患者の体幹部の測定方法の確立を念頭に、その基礎段階として、3Dスキャンシステムを用いた体幹部測定を試み、その精度を解析を行った。 2022年度は、2021年度に行った以下の研究結果を論文にまとめ、成果報告を行った。 30名の被験者における3次元形状データの取得し、得られた3次元データから背部の腫脹の左右差(計8か所)を2名の測定者によって算出した。その測定値における検者内・検者間信頼性を級内相関係数(ICC係数)を用いて算出し、また、測定値の誤差の検証のため、Bland-Altman分析や、最小可検変化量の算出を行った。 被験者のうち、データ欠損などがなかった21名のデータについて、8か所すべてにおいて、極めて高い検者内信頼性が得られた(ICC>0.88, p=0.00)。検者間信頼性については、部位によって差はあるものの、やや高い~極めて高い信頼性(ICC>0.70, p=0.00)であった。また、Bland-Altman分析により、最も肩に近い測定部位1か所においては、比例誤差がみられるものの、その他の7か所については、系統誤差は認められなかった。その部位を除いた最小可検変化量は4~12mm程度であった。さらに、解剖学的にリンパ浮腫が起こりやすいといわれる4か所においては、4~7mm程度であった。 この結果は、今後リンパ浮腫患者の体幹部の測定方法を確立していくうえで、基礎的データになると考えられ、3Dスキャンシステムを用いた体幹部測定の可能性を見出したと考えられる。
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