研究課題/領域番号 |
21K21170
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研究機関 | 兵庫医科大学 |
研究代表者 |
高橋 佳苗 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (80726761)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 陽性的中率 / 陰性的中率 / F1スコア |
研究実績の概要 |
本研究の目的は以下の通りである. (目的1)臨床検査の特性評価のための新たな指標および検定手法の開発:①有病割合に依存しない陽性的中率(PPV)・陰性的中率(NPV)の性能評価指標の提案,②臨床検査における複数の特性指標を同時評価する検定手法の開発 (目的2)3値以上に分類される臨床検査の特性指標に対する新たな評価手法の開発:① macro/micro F1の統計的性質を明らかにし,信頼区間を構築,② 2つの臨床検査間のmacro/micro F1を比較する検定手法の開発 目的1の①については,2022年度の学会発表および論文化を目指し,今年度はシミュレーションを進めた.②については,本来の目的は「感度,特異度,PPV,NPVのうち少なくとも1つは優越性を主張でき,残り全てに対し非劣性を主張できる検定手法を開発する」ことであるが,4つの指標の同時検定を考える前に,まずはPPVおよびNPVの同時検定の検討を進めることとした.PPV・NPVの同時検定については,シミュレーションが完了し,論文化の目処がつくところまで研究を進めることができたため,研究計画通り,2022年度から4つの指標の同時検定の開発について本格的に着手する. 目的2の①については,既出の論文の内容を発展させ,The 11th Conference of the Asian Regional Section of the International Association for Statistical Computing (IASC-ARS2022)にて発表した.②については,文献レビューやシミュレーションを行い,論文化に着手するところまで進めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
目的1の①「PPV・NPVの性能評価指標の提案」については,計画通り,学会発表および論文化を視野に入れシミュレーションを進めることができた.②「同時評価する検定手法の開発」は2022年度から着手する計画であり,今年度はその前段階としてPPVおよびNPVの同時検定の検討を進め,こちらは論文化の目処がついた. 目的2の①「macro/micro F1の信頼区間の構築」については,研究計画通り研究を進めることができた.今年度のIASC-ARS2022での発表をもって完了とする.②「macro/micro F1を比較する検定手法の開発」については,研究計画よりも進んでおり,すでにシミュレーションを終え,論文化に着手できている. 以上から,おおむね計画通りに進展していると判断し,区分(2)とした.
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今後の研究の推進方策 |
目的1については,計画通りシミュレーション及び論文化を進め,ENAR 2023 Spring Meetingでの研究成果の発表を目指す. 目的2については,②「macro/micro F1を比較する検定手法の開発」についての論文を国際誌に投稿するとともに,31st International Biometric Conference (IBC2022)にて研究発表を行う.
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次年度使用額が生じた理由 |
研究を進めるうえで,当初参加を予定していたENAR 2022 Spring Meeting(3月にアメリカにて開催)よりも,IASC-ARS2022(2月に京都にて開催)のほうが研究成果の発表の場として適切と考えらえたため,海外出張を取りやめた.さらに,コロナ禍によりIASC-ARS2022もハイブリッド開催となり,感染対策のためオンラインにて参加したことで,旅費費用がさらに減額された.このため,次年度使用額が生じた. 旅費に関しては,7月にラトビアで開催予定のIBC2022での研究発表が決定しており,参加費・旅費等を計上する予定である.さらに,3月にアメリカで開催予定のENAR 2023 Spring Meetingでの発表も計画している. また,本研究課題に関連する最新の知見を得るため,計量生物学会等が主催する年会やセミナーへの参加も予定している.
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