研究課題/領域番号 |
21K21175
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研究機関 | 東京保健医療専門職大学 |
研究代表者 |
坂本 俊夫 東京保健医療専門職大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60906139)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 脳血管障害 / リハビリテーション / スピリチュアリティ / 変容 / 探索的研究 |
研究実績の概要 |
本研究では脳血管障害者へのさらに積極的に対象者のスピリチュアリティを考慮したリハビリテーションの必要性から,脳血管障害者のスピリチュアリティに関する変容を調査し,その要因をもとにリハビリテーションによる脳血管障害者のスピリチュアルケア介入モデルを開発することを目指している. 本研究の第一段階として,脳血管障害者のスピリチュアリティおよびスピリチュアルケアの介入について文献研究より解析し,第18回職業教育研究集会にて口述発表を行った.この結果,脳血管障害者のスピリチュアリティに関する研究は海外を中心に進んでおり,脳血管障害者のスピリチュアリティの変容が生じる前のスピリチュアリティを同定し,繰り返し縦断的にその変容を捉え介入することの必要性が示唆された.同様にリハビリテーションでは脳血管障害の発症後の苦悩や経験からスピリチュアリティの変容が生じる可能性があり,その過程でのスピリチュアリティの把握の重要性が推察された.本研究の内容については令和3年度東京保健医療専門職大学紀要へ投稿中である.第2段階として,「脳血管障害者のスピリチュアリティ変容の調査 」を開始している.この調査では脳血管障害者の包括的自己評価の一つであるStroke Impact Scale3.0日本語版により,脳血管障害の自覚的影響度を確認している.併せて試作した「スピリチュアルケア依頼の判断基準」を用いてリハビリテーション実施時の言動や観察事項から,リハビリテーションの過程でのスピリチュアリティ変容の関連の調査を開始した.調査方法は,新型コロナ感染症の影響からオンライン会議システムを利用した面談による方法を導入している. 現在,一事例目の開始時の状況を確認できたところである.この内容については第56回日本作業療法学会での抄録が採択されており,今秋の同学会での公表を予定している.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
本研究の第一段階として,脳血管障害者のスピリチュアリティおよびスピリチュアルケアの介入について文献研究から解析した結果,脳血管障害者のスピリチュアリティ変容には対象者の自覚的な変化とリハビリテーションの専門職などの客観的な評価により同定し,繰り返し縦断的にその変容を捉え介入することの必要性が示唆された.そこで調査として脳血管障害者の包括的自己評価の一つであるStroke Impact Scale3.0日本語版による脳血管障害の自覚的影響度の評価と,併せて客観的評価として,リハビリテーション実施時の言動や観察事項から,リハビリテーションの過程におけるスピリチュアリティ変容を捉える「スピリチュアルケア依頼の判断基準」を試作し,両者の共通事項や解離性をデータ分析している.現在は,新型コロナ感染症の影響からオンライン会議システムを利用した面談による方法を導入し,一事例目の開始時の状況を確認できたところである.今後,退院前の時期に同様の調査を行い,状態の前後変化を分析する予定である.しかし新型コロナ感染症の影響もあり,2例目以降の対象者への研究説明機会に制限がある状況で,研究実施における環境整備の準備遅延が生じている.このため,上記の通り研究が遅れている状況にある.
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今後の研究の推進方策 |
現在進行中の調査研究の一例目については,退院時期が決定次第,Stroke Impact Scale3.0日本語版および「スピリチュアルケア依頼の判断基準」による評価を施行する予定である.この一事例目は事例報告として研究成果をまとめる予定である.同様に事例研究を進め,数例の結果を集約し,短報として関連学会での発表と投稿によって成果を発信することも計画する.また対象選択については,入院初期の時点で研究の説明ができるように研究協力施設と研究運用を検討を進める計画である.脳血管障害者の自覚的影響度についての評価は,オンラインの併用や追加の質問紙の作成の検討を行う.また,「スピリチュアルケア依頼の判断基準」については,リハビリテーション専門職へのインタビューによって情報収取する方法も考慮する予定である. 同様に,本研究では各病期の事例を分析する必要があると考えている.現在は回復期の脳血管障害者への調査を進めているが,急性期や維持期の対象者の調査を計画する.急性期においては,前年度と同様に感染対策や環境整備が必要となることが予測される.そこで,感染予防や研究による心身への負担を考慮し,一事例目で実施したオンラインでの調査を含めて調査の計画する. 以上の研究計画は速やかに行い,本研究として多方面での協力を仰ぎながら推進する予定である.
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次年度使用額が生じた理由 |
当該年度の研究遂行が順調には進められていない状況にあります.この理由は,研究の対象者を新型コロナ感染症の影響によって,定期的に参集し,研究の説明や自発的同意を計画的に得られていなかったからと考えます.従って,可及的速やかに研究を進めたいと考えております.次年度の研究費使用においては,研究協力施設や研究協力者との緊密な連携を進めるために,事前に十分な打ち合わせを進める予定です.現在,新規協力施設および研究協力者への打診を計画し,これらの計画を含めて研究費使用を予定しております.
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