研究実績の概要 |
閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)は多くが未診断であるため、早期発見・早期治療が重要課題となっている。近年、DNAメチル化は疾病発生に重要な役割を果たし、疾患の発症予測、診断に有用なマーカーとして注目されている。本研究の目的は、OSA患者の末梢血を用いてエピゲノムワイド関連解析(EWAS)によるゲノム網羅的DNAメチル化解析を行い、OSAの新規エピジェネティック・バイオマーカーを樹立することである。 2022年度は、対象患者の末梢血白血球DNAを用いてIllumina Infinium Methylation EPIC解析によるゲノム網羅的DNAメチル化解析を実施した。解析を実施したサンプルはコントロール群とOSA群、OSA群はさらにMild SAS、Moderate SAS、Severe SASを含んだ計24サンプルとした。サンプルはゲノムDNAのバイサルファイト処理を行った後、iScan Systemを用いてInfinium MethylationEPIC-8 BeadChipのセッティングでデータ取得を行った。その後インフォマティクス解析を実施し、解析に適さないプローブのフィルタリングを行い732,859のプローブ数にて解析を行った。解析の結果、各サンプルのβ値及び強度、検出p値が算出された。得られた結果より各サンプルのMDS分析及び階層的クラスタリング、SVD解析を行った。 現在、OSA群とコントロール群との2群間比較やOSA重症度別の群間比較の解析を実施している。これにより得られたDMP及びDMRの結果からGene Ontology解析やパスウェイ解析を実施する予定である。 全ての解析により明らかとなったOSA関連メチル化サイトは再現性を確認した後、OSAのエピジェネティック・バイオマーカーとして確立させる予定である。
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