研究課題/領域番号 |
21K21183
|
研究機関 | 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター |
研究代表者 |
冨田 浩輝 国立研究開発法人国立長寿医療研究センター, 老年学・社会科学研究センター, 特任研究員 (10909261)
|
研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
|
キーワード | 感覚器 / 視覚 / 聴覚 / 軽度認知障害 / 日常生活活動 |
研究実績の概要 |
令和3年度は、地域高齢者4,471名を対象に、視覚障害、聴覚障害、および視覚、聴覚障害が併存する二重感覚障害の有症率の実態を調査し、認知機能低下との関連性を横断解析した。また、これらの対象者において、感覚障害の有無が、単語記憶、注意機能、遂行機能、処理速度など、各認知領域に与える影響について検討した。現在、地域高齢者コホートデータベースには、視覚、聴覚障害、および日常生活活動や生活範囲などのデータが取得されており、感覚器が高齢者の日常生活活動や生活範囲に及ぼす影響について要因分析を実施するためのデータベース構築が進んでいる。本研究において、二重感覚障害を有する地域在住高齢者の認知機能低下のオッズ比は、感覚障害がないもの、または単一の感覚障害のみを有するものと比べ高くなる可能性が示されている。これは、二重感覚障害を有する場合、感覚障害がない、または単一の感覚障害のみを有する場合と比較し、日常生活において何らかの差別を感じやすくなるという先行研究を支持する結果であると考えられる。一部の成果については、国際学会での演題発表が実施済みであり、国内学会での演題登録も行なっている。国際誌にも投稿を実施しており、修正稿の作成を進めている。また、追加解析結果を国際誌の投稿に向けて執筆中である。さらに、今後のアウトカム指標となる日常生活活動や生活範囲のデータ構築を進めており、縦断解析の準備に取りかかっている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の主たるデータである、地域在住高齢者の視覚、聴覚、認知機能、日常生活活動および生活範囲における横断解析用のデータベース構築が完了しており、概ね計画通りに進捗できている。また、視覚、聴覚の感覚障害と生活範囲の狭小化発生との関連について、縦断解析用のデータベース構築も進められている。
|
今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、地域在住高齢者における視聴覚機能低下と認知機能低下との要因分析を継続して実施し、視聴覚機能低下が日常生活活動や生活範囲の狭小化発生に及ぼす影響について縦断解析を進める。また、今後も学会発表や論文投稿をおこない、多くの研究者からの助言を参考とし、研究の推進を図る。
|
次年度使用額が生じた理由 |
令和3年度には、国際学会での演題発表を実施したが、新型コロナウイルス感染症の影響を鑑みて、学会はオンラインを併用としたハイブリット形式で開催された。そのため、感染症予防対策として、国際学会には現地ではなく、オンラインでの参加を選択した。そのため、予定していた旅費の使用分が次年度使用額となった。 令和4年度は、国内での学会発表も積極的に行い、多くの研究者とのディスカッションの機会を増やし、より良い研究にできるよう研鑽を積んでいきたいと考えている。そのため、学会参加に費用が生じる。また、国際誌への論文投稿も引き続き行う計画をしており、英文校正や投稿費など、広く研究報告を実施していくためなどに費用の使用を考えている。
|