研究課題/領域番号 |
21K21191
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
森 美樹 徳島大学, 大学院医歯薬学研究部(医学域), 特任助教 (30910814)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 特定行為研修 / 訪問看護師 / コンピテンシー |
研究実績の概要 |
本研究の目的は臨床判断力や病態判断力、実践力が高いといわれる特定行為研修を修了した訪問看護師の在宅で療養する終末期がん患者に対する看護実践から、能力・技術・行為特定といったコンピテンシーを抽出することである。 2021年度は、リサーチクエスチョンに適合した対象を目的に選定する必要があり、各都道府県に特定行為研修を修了した特定区分と就業先・施設名を照らし合わせながら、特定行為研修を修了した訪問看護師の対象者の把握を行った。特定行為を修了して活動している訪問看護師は、全体の4%であり、都道府県によってばらつきが見られた。関東地方や関西地方に加え、中部・九州地方に特定行為研修を修了した訪問看護師が多く存在していた。また、修了した特定行為区分の特徴として、9割以上が終末期がん患者に関連の深い特定行為である「栄養及び水分管理に係わる薬剤投与関連」を取得していることが明らかになった。 さらに、対象者の特徴や役割から特定行為研修を修了した訪問看護師の能力・技術・行為特性を抽出するために、リサーチクエスチョンに沿ったインタビューガイドを検討していく必要があり文献検討を行った。その結果、特定行為研修を修了した訪問看護師が終末期がん患者を支援した事例や文献は少ないことが明らかになった。数少ない文献からは、適切な処置やケア方法、重症化の予防や予測を含めた関わりについて述べられていた。また、多職種との連携を深め、地域包括ケアシステムの核となる役割が示されているものもあった。これらから、終末期がん患者において重症化を予防し、生活に根ざした医療と看護を供給していると考えられる特定行為研修を修了した訪問看護師の実践のコンピテンシーを具体的に抽出していくことが課題となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度において、研究者が、リサーチクエスチョンに適合した対象を目的に選定することが不可欠であった。そのためには、半構造化面接における質的記述的研究に必要な質問内容や包括的なインタビューが実施できるためのインタビューガイドの検討を行う必要があったが、文献検討に時間を要し実施までに至らなかった。現在までに、訪問看護師の病態判断・臨床推論の過程を抽出するための骨子を検討した。具体的な判断や解釈に結びつけていくための根拠をどう活用しているのかを抽出していく必要があり、検討中である。病態判断・臨床推論から個人にあった生活に適応するための思考の統合を明確にできるよう、インタビューガイドの精錬を図っている。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度は、終末期がん患者を支える特定行為研修を修了した訪問看護師のコンピテンシーの抽出をするために、作成したインタビューガイドを用いてインタビューを実施する。 文献検討から終末期がん患者に特化した特定行為を実践している症例が少なく、終末期がん患者を支える特定行為研修を修了した訪問看護師のコンピテンシーの抽出することは今後の特定行為研修を修了し、現場で実践を行うにあたり大変意義のある研究と考える。また、予防的な看護内容や看護行為に至る思考過程を可視化することで、地域における看護の質の向上、人々の健康維持や生活を高めることが、患者満足や社会貢献につながる。 インタビューの分析結果から、臨床推論力や病態判断力、実践力が高い特定行為研修を修了した訪問看護師が終末期がん患者に対する看護のコンピテンシーについて明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
2021年度はインタビュー調査の実施を計画していたが、実施に至らなかったため、次年度使用額が生じた翌年度分として請求した研究費と合わせて、2022年度はインタビューを実施するとともにそれらにかかわる分析費用に使用する予定である。
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