本年度、終末期がん患者を地域で支える特定行為研修を修了した訪問看護師のコンピテンシーを明らかにすることを目的に取り組んだ。この研究によって、終末期がん患者が望む療養生活の継続が困難を解決するために、終末期がん患者の病態の変化を見極め、根拠を踏まえ安全な医療や療養者の価値観に沿った生活で提供ができることに意義を見いだせる。さらに、少子高齢化社会の課題に適応するための看護実践の評価や教育プログラムの開発、地域包括ケアシステムにおける活用に発展できる。そこで、インタビューの質問紙を用いて、特定行為研修を修了した訪問看護師を対象に質的記述的研究を計画し、倫理的審査を受け承認を得た。 2023年度には、終末期がん患者を地域で支える特定行為研修を修了した8名の訪問看護師のインタビューから、コンピテンシーを抽出し、整理した。特定行為研修を修了した訪問看護師は、8つのサブカテゴリーから構成された「病態判断につなげるための概念化思考と分析的思考」と7つのサブカテゴリーから構成された「看護実践能力を養うための能力開発」が明らかになった。 在宅で療養する終末期がん患者を支える特定行為研修を修了した訪問看護師のコンピテンシーを明らかにすることで、自己の看護実践能力の達成度を可視化し、地域の状況や療養者・家族のニーズに応じた次世代の医療の高度化や高齢化社会に訪問看護師の責務を果たせると考える。また、さまざまな体験を重ねながらコンピテンシーの開発をしていく看護基礎教育のカリキュラム構築の一助になりうる。 2024年に向けて、「終末期がん患者を地域で支える特定行為研修を修了した訪問看護師のコンピテンシー」として、質的記述法を用いて論文にまとめ、学会発表ができるよう準備している段階である。
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