初年度は臨床看護師の継続教育に用いられているeラーニングに関するスコーピングレビューを行った。その結果、学習意欲の維持という課題克服に向けて工夫したeラーニングの種類や効果について明らかになったが、本邦ではそれらのeラーニングを活用した調査報告およびeラーニングを阻害する要因やニーズ評価に関する横断研究がないことが明らかになった。そのため、最終年度では日本の臨床看護師のニーズに合わせた学習効果の高いeラーニング教材開発に向けて、eラーニングを用いた看護教育の現状およびニーズ調査を行った。臨床看護師300名を対象に調査を行った結果、eラーニング学習経験ありは81.3%であったが、40歳以上で有意に学習体験がなかった(p=0.03)。eラーニング学習頻度は平均7.3回/年(SD=5.9)であり、COVID-19流行前と比較すると「増えた」「少し増えた」との回答は53.7%(n=131)、増加の頻度は平均5.2回/年(SD=4.1)であった。『eラーニング形式』の希望は「自分の好きな時間や場所で実施できる非同期型」が82.8%(n=202)と最も多かった。効果的な方法として研究報告がある「インタラクティブ性のあるeラーニング」「シナリオベースドラーニング」「ゲーミフィケーション」に対するニーズがあり、今後普及することが期待される手法であることが明らかとなった。また、同じ内容であるが種類を変えた3パターンのeラーニングサンプルに関する調査では、好みが偏ることはない結果となった。さらに、eラーニングの種類の希望について、「双方向的な反応がある」eラーニングが好意的で関心のあるeラーニングの種類であることが明らかになった。これらの結果より、今後本邦の臨床看護師のニーズに合わせた、臨床的要請の高いeラーニング教材開発におけるエビデンス構築に寄与する成果が得られた。
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