研究課題/領域番号 |
21K21206
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研究機関 | 愛知医科大学 |
研究代表者 |
深谷 基裕 愛知医科大学, 看護学部, 准教授 (00910879)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 臨床倫理 / 倫理コンサルテーション / 急性期病院 / 倫理倫理コンサルタント |
研究実績の概要 |
臨床倫理コンサルテーションで初動するチームメンバーが,急性期医療機関で起こる倫理問題に対してどのようなケースコンサルテーション・スキルを用いているのかを明らかにするため,同じ理念のもとに日本国内で急性期医療を提供している複数の病院で倫理コンサルテーション活動に関わっている多職種に半構造化インタビューを実施した。
インタビュー参加者は現在13名で,職種は医師,看護師,助産師,社会福祉士,事務職員であった。各参加者のインタビューデータを解析し,その上で比較分析をしている。依頼者の置かれた立場での緊急性を考慮しつつ,中立的立場で事例の緊急性および倫理的問題の重大性の判断スキルがあることが明らかになった。また,事例の分析においては,依頼者の発する少ない情報から,倫理的問題の本質に関してあたりをつけ,その問題を裏付ける情報,ガイドラインがどこに,または誰がもっているかも把握して見通しを立てるスキルがあることも明らかになった。初動者の職種によって違いのない「コアスキル」と職種によって一部異なる「周辺的なスキル」があることが明らかになった。 対象者を繰り返し募集するが,目標予定人数には到達していない。今後は現在あるデータを丁寧にコードからサブカテゴリーと形成し,研究参加者間で比較分析をして,抽象度を高めていき,ASBHのコア・コンピテンシーや国内で発表されている上級倫理認定士の語りから抽出された臨床倫理コンサルタントのコンピテンシーと比較して,本邦の医療施設の実情にあった実効性のある倫理コンサルテーション体制について検討していく予定である。また,初動者の職種による求められるスキルが異なる可能性があり,職種間での共通性と差異性に関しても検討していく予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
目標症例数は20名として個別インタビューを計画した。令和3年度は目標症例の約半分のデータを得ることができ,令和4年度も急性期病院に勤務する倫理コンサルテーションチームの初動者(医療関係者)に引き続き研究参加募集をした。しかし,参加希望者が少なく,また新型コロナウイルス感染症の流行により,研究参加希望者とのインタビューの日程調整が難しかった。
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今後の研究の推進方策 |
現在13名のインタビューが終了しており,臨床倫理コンサルテーションの初動におけるスキルのコードやカテゴリーのバリエーションが増えてきている。目標症例数に達するのは難しいため,現在のデータを比較分析して,研究結果をまとめていく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査を予定件数行えなかったこと,学会等での発表が遅れているため,差額が発生している。
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