研究課題/領域番号 |
21K21207
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研究機関 | 武庫川女子大学 |
研究代表者 |
小笠原 史士 武庫川女子大学, 看護学部, 助教 (90911404)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 思春期 / 小児がん / エンドオブライフ / 意思決定支援 |
研究実績の概要 |
本研究は、二段階の研究により、①インタビュー調査によって思春期がん患者のエンドオブライフでの意思決定を支援する看護師の具体的な実践内容を明らかにする、②2段階のデルファイ法による調査で実践経験のある看護師よりコンセンサスが得られた「思春期がん患者のエンドオブライフでの意思決定を支援する看護実践」を明らかにし、『思春期がん患者のエンドオブライフにおける意思決定支援モデル』を開発すること、の2つを目的としている。 思春期がん患者のエンドオブライフにおいての意思決定に関する先行文献の文献検討を行い、「エンドオブライフ」、「意思決定」の定義を見直した。エンドオブライフは、患児の積極的治療をとらないと決断するまでの気持ちの揺らぎが研究に反映できるよう、「医師から家族に積極的治療を継続するか否かの説明をされてから亡くなるまでの時期」と定義した。意思決定は、選択の決断に至るまでのプロセスを重要視し、「患者や家族が治療や今後の生活に関しての意思を表明および決定していく過程」と定義した。また、思春期の社会的特性である、親から自立し始める年齢にありながらも、治療方針の決定では親の決定に依存するといった特徴をふまえ、思春期患者への意思決定支援だけでなくその両親への意思決定支援も含めて研究することとした。 第1研究であるインタビュー調査の倫理審査を2022年1月に提出し、3月に承認が得られた。5月ごろからインタビュー調査を開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
計画では2022年1月からインタビュー調査を開始する予定であったが、新型コロナウイルス感染の再拡大により、インタビュー対象者の確保が困難となったため。
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今後の研究の推進方策 |
思春期がん患者のエンドオブライフケア経験のある小児看護経験が5年以上の看護師10~15名程を対象に、エンドオブライフの意思決定を支援した場面と具体的な看護実践について、半構成的インタビューを実施する。インタビュー内容の逐語録を作成し、質的帰納的に分析する。内容についてコード化し、意思決定に対する看護実践を抽出する。コードの類似性に従って、サブカテゴリ化、カテゴリ化を行う。 得られた結果から、全国の思春期がん看護の経験が5年以上の看護師を対象として、2段階の質問紙調査を実施する。研究方法はデルファイ法を用いる。対象者数は、十分な結果が見込める50名を目標として120名程度の依頼が必要となる。質問紙調査第1段階では、第1研究で明らかとなった「エンドオブライフでの意思決定を支援する看護実践」を質問紙に示し、[必ず実施している:5]~[まったく実施していない:1]の5段階のリッカート尺度で回答を求める。質問紙調査第2段階では、第1段階の集計結果を対象者に示して、[必ず実施している:5]と[実施している:4]が80%以上となった「エンドオブライフでの意思決定を支援する看護実践」を質問紙に示して、[必ず実施している:5]~[まったく実施していない:1]の5段階のリッカート尺度で回答を求める。[必ず実施している:5]と[実施している:4]が80%以上となった項目をコンセンサスが得られた「思春期がん患者のエンドオブライフでの意思決定を支援する看護実践」とする。 最終段階として第2研究により得られた結果から、『思春期がん患者のエンドオブライフにおける意思決定支援モデル』を開発する。
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次年度使用額が生じた理由 |
インタビュー調査が予定よりも遅れてしまったため、次年度インタビュー調査で現地へ向かうための旅費、逐語録作成のための費用として必要。
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