研究課題
短時間の高強度運動パフォーマンス向上を目的として、アスリートは短時間高強度運動を行っている。低酸素吸入や運動前に自発的過換気を行うと、常酸素環境下や過換気を行わない場合よりも短時間高強度運動時の無酸素性代謝を亢進させることが報告されている。一方で、高強度運動後には動脈血圧が運動前より低下する場合があり、この低血圧は時に頭痛や失神を引き起こす。近年申請者は、運動前に随意的に換気量を増加させる(自発的過換気) と、過換気を行わない場合より運動直後の動脈血圧が低下することを示唆した。また、低酸素吸入によっても、常酸素下での運動と比較して、運動後の血圧低下が促進することが報告されている。従って、自発的過換気と低酸素吸入を組み合わせると、運動後の血圧低下も大きくなる可能性がある。そこで本年度は自発的過換気と低酸素吸入の組み合わせが30秒間の全力自転車運動後の循環応答に及ぼす影響を検討した。健康な成人男性8名および女性4名を被験者とし、30秒間の全力自転車運動後の循環応答を ①常酸素下で行う条件(自由呼吸)、②常酸素下で運動前自発的過換気を5分間行う条件、③低酸素下(高度5,000 m相当) で行う条件、および④低酸素下で運動前自発的過換気を5分間行う条件(組み合わせ)で比較検討した。運動後の動脈血圧はすべての条件で運動前よりも低下したが、条件間での差は見られなかった。これらの結果から、自発的過換気と低酸素の組み合わせは運動後低血圧の程度を増加させないことが示唆された。
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