研究課題
食事及び運動療法は糖尿病治療の根幹であるが、その食生活及び運動習慣は多種多様であり、個別化された指導の有用性が期待される。欧米で大規模な食事調査による科学的エビデンスが集積される一方で、日本人を含む東アジア人を対象とした報告は限定的で、欧米人対象の研究を参考とした日本のガイドラインが多い。また、食事には様々な栄養素が含まれているが、糖尿病患者の肥満や合併症の予防に関して推奨される各栄養素の摂取量や摂取比率、食品摂取量等に関する科学的エビデンスやどのような食事と運動の組み合わせが、肥満や各合併症と関連するかに関する報告は極めて少ない。そこで、日本全国の糖尿病専門医を受診中の2型糖尿病患者を対象に標準化された質問紙を用いてアンケート調査を実施し、食品群別の摂取とその組み合わせと肥満との関連を検討した。BMI25以上の肥満群と25未満の非肥満群に分け、摂取した食品群を比較した結果、肥満群では、非肥満群と比較して、肉類、菓子類、砂糖入り飲料の摂取量が有意に多かった。一方、野菜類、海藻類等の低エネルギー食品のみならず、いも類、果物類、砂糖類、魚介類、豆類、乳類等、多くの食品群の摂取量はむしろ有意に少なかった。つまり、非肥満群において肥満群と比較して多様な食品群を摂取し、特に豆類、魚介類及び海藻類の摂取を特徴とする伝統的な日本食(和食)に近いスタイルであることが判明した。さらに、2型糖尿病患者の肥満リスクが上昇と抑制に強く関連する菓子類、野菜類、果物類、豆類とその組み合わせの影響が明らかとなった。この結果は国際的な学術雑誌に掲載された。また、国内学会でも発表し、さらに学会賞も受賞、国際学会でも発表した。今後も、得られたデータベースを元にさらに解析を進め、現場の療養指導に貢献するためにも、日本の「Evidence-Based Nutrition; 根拠に基づく栄養学」の発展に寄与していきたい。
すべて 2022
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 2件)
Nutrients
巻: 14 ページ: 3034
10.3390/nu14153034
巻: 14 ページ: 211
10.3390/nu14010211