研究課題/領域番号 |
21K21223
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研究機関 | 山形県立保健医療大学 |
研究代表者 |
由利 拓真 山形県立保健医療大学, 保健医療学部, 客員研究員 (40908951)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | 萎縮 / 腱板断裂 / 超音波絵ラストグラフィー |
研究実績の概要 |
近年、高齢化社会の到来により、骨格筋の病態が寝たきりや要介護状態につながる転倒の原因として注目を集めている。予防および治療は、 運動療法が有効であるとされている。これまでの研究で脂肪浸潤が軽度(Goutallier 分類0-1)な症例は筋の機能が改善するのに対し、重度(Goutallier 分類2以上)な症例では、改善がほとんどみられないということが明らかになっている。しかし、萎縮と運動療法、および機能の関係は未だ明らかになっていない。そこで、本研究の目的は腱板断裂臨床例において萎縮を呈した棘上筋をモデルに超音波エラストグラフィを用いて機能を測定し、運動療法と萎縮および機能の関係を解明することである。 本年度は、腱板断裂と診断され、肩腱板断裂修復術術前の棘上筋においてMuscle Belly Ratioと超音波エラストグラフィを用いて萎縮と機能を測定できた症例を対象に、萎縮と機能の関係を調べた。そして、その結果、萎縮が軽度なほど機能が高く、重度なほど機能が低いということを明らかにした。加えて、従来萎縮の評価として用いられてきた筋横断面積や Occupation ratio、およびtangent signは超音波エラストグラフィを用いて測定した機能と有意な相関関係が得られなかった。これらの点について国際誌に投稿した。また、同症例を対象に術後1年後の萎縮と機能の測定を進めてきた。そして、機能は改善する傾向にあるが、萎縮自体は改善しにくい傾向を得つつある。 以上のことから、Muscle Belly Ratioを用いた棘上筋の萎縮の評価は、機能を反映し、萎縮の指標として有用である可能性を解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は、術後1年後に達した症例について、萎縮と機能の測定を進めてきた。そして、機能は改善する傾向にあるが、萎縮自体は改善しにくいという傾向を得つつある。しかし、初年度に想定していたよりも研究の開始と術前のデータ測定開始時期が遅れたことに伴って、術後の測定も遅れている状況にある。以上のことから、現在までの進捗状況はやや遅れていると言える。
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今後の研究の推進方策 |
今後の研究遂行までの計画においては、引き続き術後の測定を重ねることが肝要である。したがって、Muscle Belly Ratioと超音波エラストグラフィを用いて術前の測定ができた対象者について、術後の運動療法との関係を解明するために追跡調査を継続し、研究を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度までの成果のうち、術前のデータを用いて論文投稿までは進めることができた。しかしながら、術後データについて現在もデータ収集途中である。したがって、次年度には、当該論文の英語添削費や掲載論文のオープンアクセスなどに使用予定である。
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