研究課題/領域番号 |
21K21226
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研究機関 | 目白大学 |
研究代表者 |
橋本 幸成 目白大学, 保健医療学部, 専任講師 (90909855)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 音読課題 / 語彙性判断課題 / 同音擬似語 / 失語症評価 / 症状分析 |
研究実績の概要 |
データ収集ならびに得られたデータの一部を学術誌および学会にて発表した。データ収集に関しては、2つの研究協力施設が新たに加わり、来年度以降も安定的にデータが蓄積できるよう体制を整えた。研究代表者自身も、対象となる患者が利用する通所施設での非常勤を本年度から開始し、データ収集を行えるよう勤務体制を調整した。研究協力施設との連携については、感染拡大によって現地へ移動が叶わなかった1回を除いて、対面での実験方法のレクチャーや研究方法の説明を実施することができた。 現時点で収集したデータに対して、予備的な統計解析も実施しており、語彙性判断課題や音読課題の成績にかかわる要因を分析した。語彙性判断課題と音読課題の正答率を目的変数、各種単語属性を説明変数とした一般化線形混合モデルの結果では、概ね予測される属性効果が確認された。本研究において主要なテーマとなっている「同音擬似語効果」については、現時点で収集された失語症者のデータでも明確に示された。 成果発表としては、国際誌Neurocaseにおける論文発表(共同著者,印刷中)第45回日本高次脳機能障害学会における口頭発表(発表者)、The 6th Annual Conference of the Association for Reading and Writing in Asiaにおけるポスター発表(発表者)、第23回認知神経心理学会における口頭発表(共同発表者)を行った。いずれも開発した語彙性判断課題、音読課題の結果を失語症例の症状を分析するために有効であった。なお、認知神経心理学研究会における発表では、最優秀発表賞に選出された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本研究の対象者である失語症者の全体的な傾向について報告する以前に、個別のケースでも重要な結果が得られており、それらを報告したことで研究成果としては当初の計画以上に進展したと考える。また、研究協力者による発表が、研究会の最優秀発表賞に選ばれたことも想定以上の成果であった。
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今後の研究の推進方策 |
今後もデータ収集を継続しつつ、失語症者のデータが25例を超えたら再度データ解析を行う。また、研究協力施設の増加に伴い、進行性の疾患である意味性認知症例の失語症状についても分析する機会が出てくるため、そちらは個別のケース毎に分析を行う。いずれにしても、学術的および臨床的に重要であると考えられた結果については、積極的に学会、論文等で公表する予定である。 研究計画については大きな変更はなく、予定通り研究を進める。研究協力施設が医療機関であるため、感染下では外部からのデータ収集等は実施できないといった事態は継続すると思われる。この点に対しては、オンライン会議等を行い、研究協力者との連携によって解決していく予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
海外の検査用具等、初年度に購入予定であった物品の一部は、手続きの時間がかかり次年度に購入するよう変更した。また、感染下のため中止となった研究打ち合わせ等についても、次年度に実施する計画とし、その分の旅費を計上する予定である。
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