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2021 年度 実施状況報告書

新規二重他動運動負荷による老化促進モデルマウスの大脳老化予防効果と作用機序解明

研究課題

研究課題/領域番号 21K21227
研究機関日本保健医療大学

研究代表者

姚 潤宏  日本保健医療大学, 保健医療学部理学療法学科, 助手 (40909610)

研究期間 (年度) 2021-08-30 – 2023-03-31
キーワードDPELD他動運動 / 認知症予防 / 海馬活性化 / PGC-1α-FNDC5/Irisin / 記憶学習維持 / 老化促進モデルマウス(SAMP10) / シナプスの形態 / 成長因子
研究実績の概要

新規刺激装置として全身性に刺激が伝わるよう動力伝達要素を考慮し、スライダとクランクをロッドで連結した装置の開発を行いその効果について検討を行う。従来型の水平回転運動に垂直往復運動を追加した水平方向振動刺激(HSS: Horizontal Shaking Stimulation)と垂直方向振動刺激(VVS: Vertical Vibration Stimulation)を組み合わせた新規二重他動運動負荷装置(DPELD: Double Passive Exercise Load Device)を試作する。
老化促進モデルマウスSAMP10を刺激ありのDPELD群と刺激なしの対照群(各n=12)の2群に分類する。刺激群には30分間/日、3回/週、20週間継続し、5Hz強度で刺激を施す。
行動解析を実験前と刺激継続途中20週令時の2回実施した。精神機能を評価する行動解析の方法である雌フェロモン刺激テスト、ビー玉埋めテスト、高架式十字迷路テスト、尾懸垂テストを行った。また、学習記憶機能を評価する方法となるローターロッドテスト、T-mazeテスト、Y-mazeテスト、受動他動逃避テストを行った。精神機能評価の方法では老化に伴い、ストレスの上昇、不安・強迫症状を評価できるが、刺激群は対照群と比べ有意な差は認められていない。T-mazeテスト、Y-mazeテスト、受動他動逃避テストなどの記憶学習機能評価では、刺激群の方が対照群に比べパフォーマンスが優位であった。経時的にその評価を行うことのできる行動解析により学習記憶機能の維持・向上について解析を行い、DPELDの効果を引き続き検証する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

動力伝達要素を考慮し、スライダとクランクをロッドで連結した装置の開発を行いその効果について検討を行っている。従来の水平回転運動に垂直往復運動を追加した、水平方向振動刺激(HSS: Horizontal Shaking Stimulation)と垂直方向振動刺激(VVS: Vertical Vibration Stimulation)を組み合わせた新規二重他動運動負荷装置(DPELD: Double Passive Exercise Load Device)を試作した。
老化促進モデルマウスSAMP10雄8週齢36匹のうち18匹を、30分間/日、3回/週、20週間継続し、5Hz強度で刺激を実施している。毎週、体重測定と健康管理を行い、現在26週令となっている。外観から老化症状の過程を観察した結果、脱毛、潰瘍、サルコペニアなどの老化症状が出現した。
学習記憶と精神機能に関わる行動解析は、運動介入開始前(8週令)、運動介入途中(20週令)の2回実施した。行動解析には雌フェロモン刺激テスト、ビー玉埋めテスト、高架式十字迷路テスト、尾懸垂テスト、ローターロッドテスト、T-mazeテスト、Y-mazeテスト、受動他動逃避テストを行い、その評価を行った。
経時的に老化症状を確認することが出来る行動解析により学習記憶機能の維持・向上についての解析を行い、DPELDの効果を中間評価した。

今後の研究の推進方策

刺激の終了は老化症状にもよるが30週齢時を予定している。検体採取の直前となる29週令で3回目行動解析を行う。その後、骨格筋(大腿四頭筋・下腿三頭筋)、血液、脳を採取する。解析には以下の方法を予定している。
PGC-1α-FNDC5/Irisinのメカニズムの検証:骨格筋・血中・脳海馬領域中の骨格筋由来のPGC-1α(NBP1-04676, Novus Biologicals)とFNDC5(ab174833, Abcam) 、Irisin(EK-067-16, Phoenix Pharmaceuticals)についてELISA、Western blot、Immuno Histo Chemistryにより発現解析を行う。
ADの予防的効果の判定:脳海馬組織の神経細胞の変性観察、神経成長因子、脳由来神経栄養因子、ニューロトロフィン3およびニューロトロフィン4/5(ELISA、BEK-2231-SET、Biosensis)の発現解析、神経突起・シナプス(PK401A, FD Neuro Technologies)をIHCにより発現解析および形態観察を行い、同時にImage-Jによる画像解析をし、神経細胞の活性化を検証する。
本装置は自発運動が困難なAD患者に対して、他動的に効果的な刺激を行うことができ、安全性と実用性を兼ね備えている。全身性に刺激を行うため筋だけでなく全身の組織から発現が誘発される体液性因子は血液を介して全身性に遠隔の組織に運ばれ作用する。脳もその例外ではなく直接および間接的に体液性調節が行われていると考える。
検体採取は骨格筋、血液、脳組織以外の組織も予定しており、DPELDは脳を活性化させ、記憶低下を予防する以外に、他の組織を解析することでその原因となる体液性因子や末梢臓器の老化抑制などポジティブな効果を期待する。

次年度使用額が生じた理由

神試薬の購入するのため
FNDC5 Polyclonal antibody(ab174833), PGC1 alpha Antibody(NBP1-04676),Fluoro-Jade C Ready-to-Dilute Staining Kit(TR-100-FJT)

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2022 2021

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] Body-Specific Attention to the Hands and Feet in Healthy Adults2022

    • 著者名/発表者名
      Aizu Naoki、Otaki Ryoji、Nishii Kazuhiro、Kito Takumi、Yao Runhong、Uemura Kenya、Izumi Shin-ichi、Yamada Kouji
    • 雑誌名

      Frontiers in Systems Neuroscience

      巻: 15 ページ: -

    • DOI

      10.3389/fnsys.2021.805746

  • [雑誌論文] Maintenance of the Amygdala-Hippocampal Circuit Function with Safe and Feasible Shaking Exercise Therapy in SAMP-10 Mice2021

    • 著者名/発表者名
      Yao Runhong、Nishii Kazuhiro、Aizu Naoki、Kito Takumi、Sakai Kazuyoshi、Yamada Kouji
    • 雑誌名

      Dementia and Geriatric Cognitive Disorders Extra

      巻: 11 ページ: 114~121

    • DOI

      10.1159/000515957

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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