研究課題/領域番号 |
21K21230
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
相川 聖 関西学院大学, 人間福祉学部, 助教 (90911363)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2024-03-31
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キーワード | メンタルトレーニング / 動作分析 / スポーツ心理学 |
研究実績の概要 |
本研究では,イメージトレーニングの運動課題として器械運動における倒立前転を採用した。本年度は,運動課題である倒立前転の分析内容を設定することが課題であった。 まず,倒立前転における評価基準を実際の動作から検討するため,10名の熟練者(A大学男子体操競技選手)と11名の未熟練者(A大学および大学院に所属する健常な男子学生)の倒立前転を測定し比較した。倒立前転はデジタルビデオカメラ(FDR-AX700,Sony社製)を用いて,サンプリング周波数120Hzで撮影した。撮影された映像は動作解析ソフト(Pose-Cap,フォーアシスト社製)を用いて動作分析を行なった。得られた倒立前転のデータは,先行研究に基づき10局面に期分けした。その後,全ての倒立前転のデータを期分けに基づいて相対値化した。 次に,倒立前転の分析内容となる局面および身体箇所を選定するため,A大学体操競技部男子コーチ2名には熟練者と未熟練者における倒立前転の映像を比較させた。その後,A大学体操競技部男子コーチ2名には倒立前転の10局面に対応した熟練者と未熟練者の動作の違いを記述させた。記述内容を精査し,2名に共通する特徴を抽出した。具体的には,第1局面における挙上した脚の膝関節角度,第2局面における振り上げ脚の膝関節角度,第3局面における両脚の膝関節角度および頭部角度,第4局面における肩関節角度,第5局面における腰関節および膝関節角度,第6局面における腰関節角度,第7局面における腰関節角度であった。 続いて,抽出した局面および身体箇所における熟練者と未熟練者の倒立前転のデータを比較し,コーチによる記述内容との整合性を確認した。分析の結果,熟練者と未熟練者の倒立前転のデータはコーチによる記述内容と整合性があり,抽出した分析局面および身体箇所が本研究の分析内容として採用された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度は,熟練者と未熟練者における倒立前転の動作分析で得られたデータとコーチの評価によって,熟練者と未熟練者の倒立前転における動作の違いを明らかにした。本年度の研究によって明らかになった内容は,次年度の本実験における分析内容として採用できるものである。本来であれば,本年度で研究が完了する予定であったが,動作分析におけるデータの見直しや新型コロナウイルス感染症の影響もあり,本実験の実施には至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
これまでの研究によって,アスリートが実際にイメージトレーニングを実施する際の姿勢条件(立位や座位,仰臥位)や運動課題である倒立前転の分析内容が明らかになった。次年度は,これまでに明らかになった知見を踏まえ,アスリートのイメージトレーニング実施時における有効な身体の姿勢を検討する。そして,研究成果をまとめ,国外の学術雑誌に論文投稿する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
動作分析におけるデータの見直しや新型コロナウイルス感染症の影響もあり,本実験の実施には至らず,研究を延期したため,費用に余りが生じた。次年度は本実験を実施するため,本年度の残額を使用する。
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