研究課題/領域番号 |
21K21238
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
橋本 晋吾 関西医科大学, リハビリテーション学部, 助教 (00908832)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 認知機能 / 軽度認知障害 / Mixed Reality / リハビリテーション / 高齢者 |
研究実績の概要 |
Mixed Realityを認知機能のリハビリテーションに利用するため、Mixed Realityアプリケーションを用いた認知課題(以下、MR課題)を開発した。本研究では、MR課題と神経心理学的検査との相関、そして、MR課題を認知機能評価として実施する妥当性について検証することを目的とする。 研究対象はデイケアセンター利用者および地域在住高齢者とし、対象者にMR課題と神経心理学的検査、認知機能検査をすべて同日に実施した。MR課題は、数字抹消課題(数字1から20。水平視野120度範囲および180度範囲)と花道課題(正解花2種および3種。距離3m、幅1.5m)とし、それぞれ2回ずつを、ヘッドトラッキング&注視モード・触れるモードの2条件で実施した。神経心理学的検査は日本語版Trail Making TestとTapping Spanを、認知機能検査は日本語版Mini-Mental State Examinationと日本語版Montreal Cognitive Assessmentを実施した。また、MR課題から身体機能の影響を除外する目的で、Timed Up & Go Testと上肢リーチ速度計測を実施した。令和3年度には、デイケアセンター利用者1名、地域在住高齢者111名から協力を得て課題を実施した。 MR課題を完遂できなかった対象者は2名いた。いずれも日本語版Montreal Cognitive Assessmentの点数が17~18点と低かったことから、認知機能が低下している対象者にはMR課題の実施が困難な場合があることがわかった。 MR課題の実施に伴う眩暈や気分不良を訴えた対象者はおらず、一方で「楽しい」や「もっと続けたい」など好意的なコメントが多数聞かれた。この実績から、MR課題は高齢者にとって身体的精神的負担が少なく、楽しみながら実施できる課題であることが確認できた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
令和3年度は112名の対象者に研究課題を実施した。本研究では予定対象者数を100名としていたため、研究対象者数の予定を令和3年度中に達成することができた。しかし、統計解析の実施には至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
対象者への課題実施は概ね終了したため、令和4年度は、結果の解析と解釈に取り組む予定である。MR課題の特性(課題所要時間、エラー回数)について、神経心理学的検査(日本語版Trail Making Test、Tapping Span)や認知機能検査(日本語版Mini-Mental State Examination、日本語版Montreal Cognitive Assessment)との相関関係を確認する。さらに、ROC曲線(Receiver Operating Characteristic curve:受信者動作特性曲線)を用いて、MR課題が認知機能検査としてカットオフ値をもつ検査となり得るかについて検証する予定である。 得られた研究成果については、国内関連学会での発表、そして国際誌への論文投稿にて発表する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で施設内へ立ち入ることができない期間が長かったことにより、旅費を必要としなかったため次年度使用額が発生した。 翌年度分として請求した助成金と合わせて、統計解析に用いる機材の購入、研究成果発表のための学会参加費および旅費、国際誌に投稿する論文の校正費およびオープンアクセスとして公開する費用として使用する計画である。
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