研究実績の概要 |
研究実施計画の研究①にて健常若年者および高齢者を対象とし、漸増式呼吸持久力テスト(the Test of Incremental Respiratory Endurance:TIRE) 中に筋電計測と光学式容積 変動計測法(Optoelectronic plethysmography :OEP)を組み合わせた測定に関して、測定方法の確立を行なった。若年者と高齢者の違い(加齢性変化)に関して胸郭運動が, 若年者と比較して高齢者は胸郭の体積変化量が有意に低値を示し, 高齢者ではTIRE中の胸郭の体積上昇が早期に定常化する傾向がみられた. 呼吸筋活動に関して, PImax時(TIRE初期)の胸鎖乳突筋, 肋間筋, 横隔膜の二乗平均平方根(RMS)が, 若年者が有意に高値を示したが, TIRE後期のRMSでは高齢者においても若年者と同様の筋活動が生じている傾向が示されている. 加えて研究②にて予定している周術期患者の研究に関して、開胸術患者を対象として本測定方法を術前より実施した症例報告を行なった。術前と比較して退院時には約30%の呼吸筋力および筋持久力の低下が生じた。TIRE中の下部胸郭の可動性は顕著に減少、呼吸筋活動は肋間筋の活動低下に代償した腹部筋群や広背筋などの脊柱や骨盤体の安定化に寄与する補助筋の活動が上昇した。8週間後、MIPや胸郭可動性は術前値まで改善した。更に、吸気筋持久力は術前比120%まで上昇を認めた。これらの結果は、国際誌への論文投稿準備中である。
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