研究実績の概要 |
すくみ足はパーキンソン病や進行性核上性麻痺で多くみられる症状であり,「歩行の開始または歩行中の足底があたかも床面にへばりついたようになり,一時的に歩けなくなる状態」と言われている. 本研究では,このすくみ足を再現しうる神経筋骨格モデルの構築を行なってきた.すくみ足の発生機序には,大脳基底核・補足運動野ループの活動異常,上位脳から脊髄への下降性入力の異常,姿勢制御の異常,視覚情報処理の異常など,複数の神経制御メカニズムの関与が示唆されている.しかしながら,歩行制御の多くは最終的に脊髄ー脳幹に集約される.そこで,昨年度は2次元7リンク,18筋を有する筋骨格モデルと脳幹ー脊髄回路を模擬した階層的神経モデルを構築した. 最終年度は,このモデルを用いて,すくみ足様の現象が表現されるのかを調べた.具体的には脳幹モデル内の筋緊張を調整するPPN (Pedunculopontine nucleus)と歩行リズムを調整するCnF (Cuneiform nucleus)のパラメータを歩き始めの数秒間のみ,それぞれ変化させた.その際に,どのように歩容が変化するのかを調べた.1万通りのパラメータの組み合わせから,1歩ける,2転倒する,3すくみ足様歩行と3つのパターンが確認できた.これらのパラメータから,すくみ足に寄与するパラメータ,すなわち,すくみ足の出現条件が特定できると示唆される.これらの内容をは第16回Motor Control研究会で発表をし,現在,国際誌投稿に向けて鋭意準備中である.
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