研究課題
2021年度は約14000名を対象として質問票による調査を行った。調査の実施に先立った対象自治体の役場職員との打ち合わせ、14000名分の質問票発送と回収作業を中心に活動した。質問票調査に並行して、ベースラインのデータを使用した横断解析を実施した。その結果、血清25-hydroxyvitamin D濃度と慢性疼痛の有病の関連がビタミンD受容体関連遺伝子の多型によって変化することが示された。血中のビタミンD濃度と慢性疼痛の関連については、多くの先行研究がなされているが、未だに一貫した見解に至っていない。本研究の横断的解析の結果から、ビタミンD受容体多型によって25-hydroxyvitamin D欠乏の影響が異なることが示唆された。これまで、25-hydroxyvitamin Dと慢性疼痛の関連をビタミンD受容体関連遺伝子多型別に検討した報告はない。この知見はビタミンDを用いた慢性疼痛の治療および予防において、ビタミンD受容体多型を考慮する重要性を示すものである。慢性疼痛に対するテーラーメイド型予防医学の発展に貢献することが期待される。現段階では、横断解析にとどまっているため、2021年度の質問票調査で得られたデータを使用した縦断解析によって、血清25-hydroxyvitamin D欠乏と慢性疼痛発症の因果関係までを明らかにすることが求められる。なお、横断解析のこの内容について、第18回日本予防医学会学会学術総会にて口頭発表を行った。
2: おおむね順調に進展している
計画通り2021年度に質問票調査を実施し、縦断解析を実施するデータが得られている。
得られたデータを使用し、縦断解析を実施する。2021年度中に実施した横断解析で得られた知見を軸に、ビタミンD受容体関連遺伝子多型の影響をふまえたうえで、血清25-hydroxyvitamin D濃度と慢性疼痛発症の関連について検討する。
他の研究費との兼ね合いにより、当該年度の使用額が計画より小さくなった。次年度は学会発表(2回)および論文出版(2編)を予定しているため、学会参加費・旅費や英文校正費・出版費などにあてる計画である。
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