研究課題
今年度は27名の新規患者様の身体機能(筋力、持久力、筋肉量など)に関するデータを取得し、さらに現在4名の患者様のデータを取得中である。当初の計画では54例のデータ取得を目標にしており、約半数の身体機能に関するデータが得られた状況である。14例の血清検体が得られた時点で一度目の血中マイオカイン濃度分析を外注先に依頼した。身体機能データは1名ずつ理学療法士が病院で取得するのに対して、マイオカイン濃度の解析は、検査キットの都合上、15例程度の検体が揃った時点で外注するため、分析結果が得られるのは大幅に遅れる。現在、二回目のマイオカイン濃度分析を依頼している。第45回日本造血・免疫細胞移植学会総会において、体組成計で測定される造血幹細胞移植患者の全身栄養状態(位相角)と運動耐容能が関連することを発表した。これは、当該患者において体組成が臨床的意義を有することを示しており、本研究の基礎となる知見である。また、十数例の限られたデータであるが、造血幹細胞移植前患者の血中マイオカイン濃度と、全身の骨格筋量に関連がある傾向が認められている。まだ例数が少ないため、今後得られるデータ次第では結論が変わる可能性も大いにある。しかしながら、有疾患者の血中マイオカイン濃度と骨格筋量に関する報告は国際的にも初めての報告になる。以上のように、本研究結果から,1.allo-HSCTがマイオカイン濃度に与える影響,2.allo-HSCT患者の骨格筋量および身体機能とマイオカイン濃度の関連を明らかにするという目的に対して、まだ主要な結論は得られていないため、1年間本基金の使用について延長申請を行い、受理された。
4: 遅れている
前年度、倫理委員会申請過多につき倫理審査の通過に時間を要し、COVID-19収束の見通しが立たず、病院全体の入院患者数が制限され、研究対象者が想定より少なかった。これらの影響による研究の遅れがそのまま今年度に持ち越されている。
今後は、継続してデータ取得を進める。5月中に外注している2回目の血中マイオカイン濃度の分析結果が得られる予定である。そのデータを基に日本リハビリテーション医学会に演題登録を行う予定である。また、研究期間中に得られるデータをまとめて国際誌に投稿する予定である。
次年度は血中マイオカイン濃度分析のためのELISAキット購入と外注、および学会参加費、論文執筆に係る英文校正費などに科研費を使用する。
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Transplantation and Cellular Therapy
巻: 28 ページ: 602.e1~602.e7
10.1016/j.jtct.2022.06.011