研究課題/領域番号 |
21K21253
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
佐伯 純弥 京都大学, 医学研究科, 特定助教 (00914152)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 大腿四頭筋 / 膝蓋腱 / 発育発達学 / 筋輝度 / 超音波画像診断装置 / 脛骨粗面 |
研究実績の概要 |
思春期には骨の急激な発育により一時的に筋が伸張されるが、この筋伸張が運動機能に与える影響は明らかではない。本研究は発育による組織の伸張がスポーツ障害の発生やパフォーマンスに与える影響を検討することを目的とする。 思春期における筋および腱の伸張を評価するため、男子中学生46名における膝蓋腱と大腿直筋の超音波画像を様々な角度で撮影し、エコー輝度(組織内のグレースケール平均値)を比較することで、これらが実際に組織の伸張度のアウトカムとして用いることができるか検証した。その結果、膝蓋腱と大腿直筋の輝度は組織の伸張に伴い増加し、エコー輝度は思春期の対象において組織の伸張を反映する指標であることが示唆された。 さらに、発育による組織の伸張がスポーツ障害の発生に与える影響を検討するため、Osgood-Schlatter病の診断基準の一つである脛骨粗面の圧痛の有無を超音波画像におけるエコー輝度を用いて回帰可能か検討した。男子中学生46名を対象として膝蓋腱および大腿直筋の超音波画像、および腹臥位における最大膝屈曲角度(大腿四頭筋タイトネス)を測定し、従属変数を脛骨粗面の圧痛の有無、独立変数を膝蓋腱輝度、大腿直筋輝度、膝蓋腱断面積、大腿直筋断面積、大腿四頭筋タイトネスとしてロジスティック回帰分析を行った。その結果、脛骨粗面の圧痛を有する者は他の項目と独立して膝蓋腱輝度が高いことが示された。本研究はOsgood-Schlatter病と膝蓋腱の伸張の関連を示唆している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度はコロナ禍で測定会の開催が制限される中、46名を対象としたデータの測定および解析を遂行することができた。さらに、今年度行う予定である研究の計画およびリクルートが完了している。
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今後の研究の推進方策 |
エコー輝度の個人差は皮下脂肪厚や筋内水分量などの影響も受けるため、個人間で比較可能な指標を用いて膝蓋腱、大腿直筋の張力を測定する必要がある。今年度はせん断波エラストグラフィを用いて膝蓋腱、大腿直筋の張力を測定し、脛骨粗面圧痛との関連を縦断的に検討する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス対策に伴う移動制限のため、当初よりも旅費が少なくなった。また、すでに確立されているフィールドで測定を実施したため、当該研究費から被検者の謝金を支払うことがなかった。研究計画の変更に伴い、A/D変換器およびペンタブレットを使用する必要がなくなった。
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