本年度は発育期におけるスポーツ障害の実態調査として、高校サッカー選手19名に対して、Cumberland Ankle Instability Toolを用いた足関節不安定性の調査を行った。また、足関節における背屈・底屈・外がえし・内がえしの関節可動域の測定、および超音波撮像装置を用いた前距腓靭帯長の測定を行った。前距腓靭帯長の測定において、前方引き出しストレスを加えた際の前距腓靭帯長の変化率を算出することで、足関節不安定性の評価を行った。その結果、発育に伴う関節可動域の変化と前距腓靭帯長の変化率の間には有意な相関関係が認められなかった。次に、足部アーチが伸張されやすい者と伸張されにくい者で単関節筋と二関節筋におけるエクササイズ時の筋張力が異なるかを検討するため、成人男性12名を対象として、Navicular Drop test(立位にて対象の舟状骨高の差)、および超音波撮像装置のせん断波エラストグラフィ機能を用いたエクササイズ時の筋張力の測定を行った。さらに、筋張力の測定において、安静時およびshort foot exercise時の短趾屈筋および長趾屈筋の筋張力を測定し、short foot exercise時の長趾屈筋に対する短趾屈筋の筋張力の比率を算出した。その結果、Navicular Drop testとshort foot exercise時の二関節筋に対する単関節筋の筋張力の比の間に有意な負の相関が認められたことから、Navicular Drop testの値が大きく、足部アーチが伸張されやすい者はエクササイズ時に単関節筋の筋張力が小さいことが明らかとなった。
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