研究課題/領域番号 |
21K21259
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研究機関 | 日本保健医療大学 |
研究代表者 |
石井 智也 日本保健医療大学, 保健医療学部理学療法学科, 助手 (00910043)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | 運動制御 / 筋収縮後増強 / 活動後増強 |
研究実績の概要 |
本研究では、短時間の事前活動(条件収縮)による筋活動の変化に着目し、筋、関節への負担軽減に向けた骨格筋の筋活動量をコントロールする方法を明らかにすることを目的としている。現在、肘関節屈曲課題における主動作筋、共同筋、拮抗筋を含めた筋群において、試験収縮強度の違いによる条件収縮による筋活動変化がどの様な動態となるか不明である。本年度は、肘関節周囲筋群を対象として、試験収縮強度の違いによって、条件収縮による筋活動がどの様な影響を及ぼすか検討した。本年度は下記の成果を得た。 運動課題は等尺性の肘関節屈曲とした。被験者は最大随意筋収縮(MVC)時の2%、10%、または20%強度のいずれかの試験収縮(Test 1)に続いて、50% MVC強度の条件収縮を行い、再びTest 1と同じ強度の試験収縮(Test 2)を行う様に教示された。筋電図は右上腕二頭筋(主動作筋)、右腕橈骨筋(共同筋)、右上腕三頭筋(拮抗筋)から導出した。上腕二頭筋では、試験収縮強度が2% MVCの場合、Test 1に比べTest 2において有意な筋電図量の増大、また試験収縮強度が20% MVCの場合、Test 1に比べTest 2において有意な筋電図量の減少が観察された。腕橈骨筋、上腕三頭筋では試験収縮強度に関係なくTest 1に比べTest 2において筋電図量の減少が観察された。 条件収縮後、主動作筋である上腕二頭筋では筋電図量の増強または減少効果が見られたが、協同筋、拮抗筋である腕橈骨筋、上腕三頭筋では異なる動態がみられ、上腕二頭筋とは異なる神経調節が行われている可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の計画では、条件収縮と試験収縮強度の組み合わせ方法を系統的に検討し、肘関節周囲筋の筋電図量変化における動態を検討する予定であった。しかし、新型コロナウイルス感染症による影響により、実験の停止や被験者の確保が困難となり、計画を円滑に遂行することができなかった。本年度の実験により、上腕三頭筋、腕橈骨筋の筋電図量の変化は上腕二頭筋に比べ、異なる動態をもつ可能性が示唆されたが、その詳細を明らかにするため、さらなる実験が必要である。
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今後の研究の推進方策 |
肘関節のおける上腕二頭筋、上腕三頭筋の筋活動量をコントロールする方法を明らかにするために、筋電図変化に必要な条件収縮・収縮強度の組み合わせ方法の検討とともに、肘関節屈曲課題だけでなく、肘関節伸展課題時における上腕二頭筋、上腕三頭筋の筋電図量の動態の検討を行う。統計的に十分な量の実験数を確保するために、新型コロナウイルス感染症の対策を徹底して、実験を遂行する。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルス感染症の影響により、予定していた実験回数が十分に試行することが出来ず、実験環境への交通費に余剰が生じた。次年度では、十分な実験回数のために必要となる交通費として、残額については使用する計画である。
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