本研究では、短時間の事前活動(条件収縮)による筋活動の変化に着目し、筋、関節への負担軽減に向けた骨格筋の筋活動量をコントロールする方法を明らかにすることを目的としている。現在、肘関節伸展課題における主動作筋、拮抗筋を含めた肘関節周囲筋群において、条件収縮後の各筋活動変化の動態は不明である。本年度は、肘関節伸展課題時における肘関節周囲筋群における筋活動の動態の検討を行った。本年度は下記の成果を得た。 課題①では、被験者は最大随意筋収縮(MVC)時の2%強度の試験収縮(Test 1)に続いて、25%、50%、または100%強度のいずれかの条件収縮を行い、再びTest 1と同じ2%強度の試験収縮(Test 2)を行うように教示された。課題②では、被験者はMVC時の2%、10%、または20%強度のいずれかのTest 1に続いて、50%MVC強度の条件収縮を行い、再びTest 1と同じ強度のTest 2を行う様に教示された。課題③では、被験者はMVC時の20%強度のTest 1に続いて、50%、75%または100%強度のいずれかの条件収縮を行い、再びTest 1と同じ20%強度のTest 2を行うように教示された。 課題①②③ともに、筋電図は右上腕三頭筋(主動作筋)、右上腕二頭筋(拮抗筋)、右腕橈骨筋(拮抗筋)から導出した。課題①②③ともに、上腕三頭筋、上腕二頭筋、腕橈骨筋においてTest 1とTest 2時の筋活動の変化は、個人間でばらつきがみられた。結果、本研究で使用した条件収縮強度、試験収縮強度において、条件収縮後の筋活動の変化に有意な差は認められなかった。 肘関節屈曲課題では観察された筋活量の変化は、肘関節伸展課題では観察できなかった。条件収縮後における筋活動の変化は、筋によって異なる神経調節が行われている可能性が示唆された。
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