研究課題/領域番号 |
21K21260
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研究機関 | 順天堂大学 |
研究代表者 |
渋川 周平 順天堂大学, 保健医療学部, 助教 (10911290)
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研究期間 (年度) |
2021-08-30 – 2023-03-31
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キーワード | MRI / 骨格筋 / 温度 / 血流 / 代謝 |
研究実績の概要 |
本研究では磁気共鳴イメージング(MRI)を使用して下肢骨格筋の代謝イメージングの開発を試みた。骨格筋の筋線維は遅筋線維と速筋線維に大別され、その機能が異なることが知られているが、これを識別できる画像診断法はほとんど報告されていない。MRIは骨格筋の全体像を把握する事に加えて、下肢血管の形態評価や血流測定には定評があり広く臨床で応用されている。そこで血流評価に加え、MRIで温度が測定可能であることに着目し、運動負荷をかけた場合の血流と温度を同時評価する代謝イメージングを考案した。 2021年度は人体への応用を目指し、ファントムによる温度計測、及び血流計測の基礎検討を行った。MRIによる温度計測法はいくつか存在するが、骨格筋の温度を測定するのに適切な方法は検証されていない。そこで、まずMRI室内で温度計測が可能な光ファイバー温度計を購入した。この光ファイバー温度計による実測温度とMRI画像から取得された温度推定値を比較し、温度計測画像の妥当性を検証した。下肢骨格筋に運動負荷をかけながら、温度と血流の変化を捉えるためには時間分解能が必要とされる。そこで高速に温度計測が可能な位相差による温度計測法を検証したが、温度に対する感度が低いことが示唆された。一方、時間分解能は低いが温度計測としてはGradient echo法を用いたT2* mapが最も感度が高かった。また、血流計測には同様のGradient echo法を用いた経時的信号変化を解析する事が有用であると考えられた。今後はボランティアデータを蓄積して本手法の人体への応用を確立するつもりである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
まず、本研究の基礎検証を行うため、MRI室内で温度計測が可能な光ファイバー温度計を購入した。また、当施設でのボランティア撮像を行うために倫理委員会の承認を得た。実験の準備が整った段階で磁気共鳴イメージング(MRI)を使用して骨格筋の温度計測をファントムによって検証した。しかし、当初予定していた位相画像を用いた温度計測は感度が低く、想定していた温度画像を取得困難であった。そこで、温度計測の方法を変更し、T2*mapを用いることで温度計測が可能であることがわかった。当初予定していた2021年度の基礎検討は終了し、2022年度は人体への応用を進めていくつもりである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は確立した温度計測、及び血流計測を人体へ応用していく予定である。そこで、まず運動負荷量(加重)を調整できる補助具を作成する。これはMRI室内で使用できる非磁性体の素材を使用する。補助具が完成後、実際にボランティア30名の下腿を撮像する。運動負荷をかけながら代謝イメージングの検証をおこなう。この時、副次的評価項目として運動負荷における加重量と回数が温度や血流へどの様な影響を及ぼすか検証する。この運動負荷量による画像の変化を遅筋線維と速筋線維で計測し比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度で購入した光ファイバー温度計が仕様の関係でわずかに安価に購入可能であった。次年度使用としては消耗品となり得る光ファイバープローブの購入を考えている。
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